新書大賞受賞の大木毅が描く日本の真実『太平洋戦争』の全貌

新書大賞受賞の大木毅が描く『太平洋戦争』

2025年8月13日、株式会社PHP研究所から新刊『太平洋戦争』が発売されます。著者は、大木毅氏で、彼は2020年に新書大賞を受賞した『独ソ戦』の著者としても知られています。本書は、南方攻略作戦から真珠湾攻撃、本土空襲、沖縄戦に至るまでの戦略と作戦を通観し、太平洋戦争の複雑な歴史を解き明かします。

帰結への探求

戦後80年の節目に当たる今、太平洋戦争に関する新たな視点が求められる中で、大木氏は日米双方の戦役を海外の研究資料を基に考察しています。この新刊では、日本陸軍の戦果が多くの悲劇を伴ったことに焦点を当て、南方の孤島での戦死や補給途絶の問題を掘り下げています。また、インパール作戦などの失敗を浮き彫りにし、司馬遼太郎が指摘した「兵をばらまいて置き捨てた」戦略の疑念を改めて取り上げています。

日本陸軍の実像

本書の序盤では、成功した南方攻略作戦と、悪名高いインパール作戦を比較し、日本陸軍の実情に迫ります。大木氏は、日本陸軍が南方攻略作戦で得た成功が、戦理に基づいていた一方、インパール作戦では戦理を無視し惨敗に至ったことを論じています。

「戦略がなかった日本」

著者は、太平洋戦争全体において日本には一貫した戦略が存在しなかったと結論付けています。政府が長期不敗態勢を目指していた一方で、陸軍内には対ソ戦を企図する声もあり、海軍内でも異なった見解が存在するなど、各軍がバラバラに進行してしまったのです。この戦略の欠如が、日本軍がミッドウェイやガダルカナルで戦略的主導権を失う結果を招きました。

目次の紹介

本書は、以下のような内容で構成されています。

- 第一章: 海原と密林の戦場へ──陸海軍の攻勢戦略
- 第二章: 南溟に疾風走る──南方攻略の戦略と作戦
- 第三章: 過信と暗転の太平洋──勝機を逸した攻勢
- 第四章: 勝者と敗者を分かつもの──日米両軍の戦略と戦術

著者プロフィール

著者の大木毅氏は、1961年生まれの現代史家で、立教大学大学院を卒業後、様々な教育機関で教鞭をとりました。主な著書には『「砂漠の狐」ロンメル』や『戦史の余白』などがあり、歴史や軍事に関する多くの評価を得ています。特に、彼の著作は厳密な研究によるものが多く、その論考に注目が集まっています。

新書形式で240ページにわたる本書は、税込1,210円で販売されます。また、ISBNは978-4-569-85968-2です。大木氏の深い洞察と詳細な分析を通じて、太平洋戦争という複雑な歴史に新たな光を当てる一冊となるでしょう。