ヘラルボニーとJALが共同で空の旅のハードルを取り除く新プロジェクト始動
株式会社ヘラルボニーが日本航空(JAL)と手を組み、障害を抱える方々やそのご家族が空の旅に感じる不安を軽減するためのプロジェクトを開始しました。その名も『Beyond Guide』。これは、旅行の不安を軽減するために、事前に必要な情報を分かりやすくまとめた冊子です。
『Beyond Guide』の内容
このガイドブックでは、空の旅における様々な状況や不安に対して、Q&A形式で情報が提供されています。「長時間の待機ができるか心配」、「パニックになった際の対処法」、「自分のこだわりのある食べ物を持ち込めるのか」といった具体的な質問に応え、各ステップごとに必要な情報をまとめています。事前に分かっていれば、不安が和らぎ、より安心して空を楽しむことができます。
また、ヘラルボニー契約作家である水上詩楽氏のアートを用いた紙コップが全路線に登場することも発表され、空の旅をさらに彩ることになります。
ヘラルボニーとJALの過去の取り組み
ヘラルボニーとJALは、数年前から続けているパートナーシップです。共通の理念として「誰もが豊かに旅を楽しめる社会」を掲げ、これまでに多くの障害のある作家のアートを国際線のアメニティポーチに採用するなど、幅広い取り組みを行ってきました。また、2023年には業務提携を正式に締結し、「Beyond」というコンセプトのもとで共創の道を進めています。
心理的なハードルをなくして
実際、障害を持つ方々が抱える不安は多岐にわたります。ヘラルボニーが実施したアンケートによると、知的障害や発達障害を持つご家族の中で、30〜36%が公共交通機関を使う際に難しさを感じているという結果が出ています。こうした背景を受け、今回の『Beyond Guide』が手掛けられました。
このガイドブックは、空の旅における心理的なハードルを減らし、楽しむ選択肢を広げることを目的としています。利用者一人ひとりに寄り添った情報を提供しており、事前に知識を持つことで多くの方々に安心をもたらす「旅のパートナー」として機能してくれることでしょう。
「行きたい」を諦めないために
また、今回のプロジェクトに寄せられた実際の体験談も心に響きます。たとえば、ヘラルボニー契約作家の藤田望人さんの母親は、移動手段として自家用車が選ばれることが多かったと語ります。しかし、息子は空を飛ぶことに魅力を感じているとのこと。何が起こるか分からないからこそ、飛行機に挑戦することに意義があると強調されました。このような親の思いを受けて、『Beyond Guide』が大きな役割を果たすことが期待されます。
- - 知的障害の子どもを持つ家庭からは、飛行機に乗る際の不安に対して「事前にイメージができる情報があることが重要」との声もあります。このように、心のハードルを越えて支え合う取り組みが、今後も必要とされるでしょう。
今後の展望
ヘラルボニーとJALは、今後も障害のある方々が安心して空の旅を楽しめる未来を目指していきます。新たな情報提供の形やサービスを提案し、訪れるすべての方にスペシャルな体験を実現するための努力を続けます。