どこでもいけるドア? 和歌山大学とSWCCの共同研究が実現した「トランスポータシステム」とは?
和歌山大学とSWCC株式会社は、共同研究を通じて、世界初の「トランスポータシステム(ADTPS: Advanced Digital Transporter System)」を開発しました。このシステムは、ボリュメトリック技術とAVR®技術を融合させることで、仮想空間と現実空間を繋ぎ、まるで「どこでもいけるドア」のように、リアルタイムに離れた空間や過去の空間に体験者を転送することを可能にする画期的な技術です。
従来の課題を解決する「トランスポータシステム」
従来、高所や狭隘な場所での点検や作業は、危険が伴うだけでなく、時間や天候にも左右され、効率性の低い作業が課題でした。しかし、「トランスポータシステム」は、会議室から現場をリアルタイムに点検できるため、安全性を確保しながら、時間や天候に左右されることなく、より効率的な作業を実現できます。
「トランスポータシステム」の具体的な活用例
例えば、超高圧ケーブルの敷設マンホールや高い鉄塔上の現場などの点検において、会議室からリアルタイムで点検したい空間に点検者を転送することができます。
昼夜を問わず、時間や天候に左右されることなく点検が可能
狭小スペースでも自由に歩きまわり、通常撮影では死角となる箇所も点検可能
作業者の手元を見ながらの指示や、メジャーを用いた実測も可能
過去の空間データを保存することで、点検者を過去の現場に転送し、過去の状況を再確認可能
今後の展開と社会への貢献
SWCC株式会社は、2025年度には本技術をサービス化し、インフラ業界の現場に適用することで、人手不足への対策、安全性の向上を目指しています。具体的には、巡視、点検、工事、教育などのソリューションを展開する「SmartStream事業」を推進していく予定です。
和歌山大学とSWCC株式会社は、今後も協力し、この技術を幅広い市場に展開することで、社会貢献に寄与していくことを目指しています。
用語解説
ボリュメトリック技術(和歌山大学): カメラ映像データから、人や物の3D立体データ(ホログラム)を生成する技術。最小限のカメラでホログラム化を可能とする技術です。
AVR®技術(SWCC): 独自のVRゴーグルを用いて、仮想空間だけではなく、仮想空間と現実空間を融合し、よりリアリティの高い体験を実現する技術です。
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SmartStream事業(SWCC): SWCCグループで培ってきた基盤事業とDXに関する技術やツールを掛け合わせ、新しいビジネスモデルを創出する事業です。
「トランスポータシステム」は、インフラ業界の未来を変える可能性を秘めています。