食べられるシャボン玉、シナモンで美味しく彩る新デコレーション
大阪工業大学の応用化学科高分子材料化学領域にて、藤井秀司教授のチームが興味深い新しい試みを発表しました。それは、シナモン粒子を使用して食べられるシャボン玉、すなわち「ガスマーブル」の開発です。この食用カプセルは、見た目の楽しさだけでなく、噛んだときに音が出る楽しさも備えています。また、ケーキなどのデコレーションに利用することで、視覚的にも味覚的にも新たな体験を提供します。
新たなシャボン玉の構造
従来のシャボン玉は、界面活性剤を含む洗剤によって安定化されていましたが、近年では固体粒子を使用してシャボン玉を作ることが可能であることが示されています。これにより、ガスマーブルと呼ばれる新しい形のシャボン玉が注目を集めていますが、いずれにしても水分が蒸発すると割れてしまうという宿命があります。
しかし、藤井教授のグループは、シナモン粒子を安定化剤として使用することで食用のガスマーブルを開発しました。シナモン粒子はマイクロメートルサイズの不規則な形状を持ち、水膜に吸着して形状を安定化させることができるのです。そして乾燥後は、球状の形状を保ったままで、水が蒸発しても割れることはありません。
様々な液体での応用
興味深い点は、ガスマーブルは水だけでなく、ミルクや豆乳、コーヒーなどの他の液体でも作製可能である点です。特にミルクを使用した場合、乾燥させることで丈夫な殻を持った中空カプセルが得られます。これを歯で噛み割ると、「カリッ」という音を立て、その音も楽しめるのです。
見た目の楽しいデコレーションとして、シナモンの香りと味が加わることで、スイーツの魅力をさらに引き立てます。このアイデアは、特にカフェやケーキショップなどで大いに活用されることが期待されます。
分子ガストロノミーの新たな可能性
この研究により開発された食べられるシャボン玉は、簡単に作成できるうえ、内部に新たな香りを導入することも可能です。これにより、分子ガストロノミーや分子美食学の分野で新しい展開が期待されています。食文化に新たな風を吹き込む可能性を秘めているのです。
本研究は日本学術振興会の科学研究費補助金基盤研究(B)の支援を受け、フランス国立農業・食料・環境研究所のAnne-Laure Fameau博士との共同研究として進められました。研究成果は、2024年8月6日に発表された学術雑誌「Advanced Functional Materials」に掲載され、多くの注目を集めています。
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