世界難民の日に寄せて
毎年6月20日は、「世界難民の日」。この日は、戦争や迫害によって故郷を追われた難民や避難民の保護、支援の大切さを伝える国際的な日として制定されています。今年はその重要性を再認識し、NPO法人Piece of Syria(大阪市)から発信されたメッセージに注目が集まっています。
「難民」とは何か
Piece of Syriaの代表理事、中野貴行氏は「難民という人がいるのではなく、私たちと変わらない人が難民の状況に置かれた」と語ります。これは、難民に対する理解を深めるための重要な視点です。「難民がiPhoneを持っている」のではなく、「iPhoneを持っていた人が難民になった」という視点は、難民の人々が抱える苦しみや日常をわかりやすく示しています。
日常のリアルを伝える動画
Piece of Syriaでは、シリアで戦争によって教育の機会を失い、避難生活を余儀なくされている人々の実情を伝える動画を発信しています。その中でも特に注目すべきは、彼らの「日常」と「失ってしまった当たり前の生活」を映し出した映像です。これまでに公開された三本の動画は、各国での難民の姿をリアルに表現しています。
- - 動画①:『シリアの人たちを訪ねて〜ヨルダン編』 では、難民キャンプでの生活や市内に住むシリア人の様子が伝えられます。これにより、ヨルダンでのシリア人たちの暮らしの実態が浮き彫りになります。
- - 動画②:『シリアの人たちを訪ねて〜イラク編』 は、イラク北部のクルド自治区を訪れ、イラクのイメージを変える風景とその地で生きる人々の声が紹介されます。
- - 動画③:『シリア難民のミステリーツアー』 では、難民を受け入れていないヨーロッパの国を訪れ、そこでの状況や思いがけない出会いを語ります。
これらの動画は、難民の実像を伝え、私たちに何ができるのかを考えるきっかけとなるものです。
支援の第一歩
国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)のデータによると、2024年末時点で、世界で1億2,320万人の人々が紛争や迫害によって故郷を追われ、4,270万人が難民として国際的保護を必要としています。しかし、シリアでは依然として帰還が進んでおらず、長期化する戦争により多くの人々が厳しい状況に置かれています。
安心して暮らせる社会の再建には、様々な観点からの支援が必要です。支援の形は金銭的なものだけではありません。「知ること」「関心を持つこと」も支援の第一歩です。あなたもこれをきっかけに、家族や友人と難民について話し合ったり、寄付を通じて支援を考えていただければ嬉しいです。
結び
「難民の日」を通じて、難民という言葉の裏に隠れた彼らのリアルな姿を知り、その中で何ができるかを一緒に考えましょう。多くの人々が直面している現実に目を向け、共に支援の輪を広げていきたいものです。