鉄骨造建築物の寿命を延ばす革新的技術:無火気・短工期な炭素繊維補強「C-VaRTM工法」
株式会社コンステックは、東レ株式会社と豊橋技術科学大学の協力を得て、鉄骨造建築物のブレース接合部や鋼材部を補強する画期的な工法「C-VaRTM工法」を開発しました。本工法は、既存建築物の長寿命化に大きく貢献する技術として注目を集めています。
C-VaRTM工法とは?
C-VaRTM工法は、東レが開発した真空含浸工法(VaRTM)を応用した炭素繊維補強技術です。特殊加工された炭素繊維シートを補強箇所に設置し、フィルムで密閉。真空ポンプで内部を真空状態にして樹脂を注入することで、大気圧を利用して炭素繊維に樹脂を含浸させます。この技術により、鉄骨造建築物のブレース接合部の耐力向上を実現し、構造物の強度を効果的に高めることができます。CFRP成形板と組み合わせることで、多様な用途への適用も可能です。
工法のメリット
従来の補強工法と比較して、C-VaRTM工法は以下のようなメリットがあります。
無火気施工: 火気を使用しないため、火災リスクを軽減し、安全な施工が可能です。
短工期: 従来工法と比較して施工期間を大幅に短縮できます。
高強度: 炭素繊維を使用することで、高い強度と耐久性を確保できます。
多様な用途: ブレース接合部だけでなく、様々な鋼材部の補修・補強にも適用可能です。
適用事例
既に避雷針支持鋼管の溶接部の予防保全にC-VaRTM工法が適用されており、段差のある形状にも対応できることが実証されています。施工前後の写真からは、補強後の美観も保たれていることが分かります。
実験による検証
コンステックは、加力実験を通じてC-VaRTM工法の有効性を確認しています。実験結果から、接合部の耐力向上効果が明確に示されており、工法の信頼性を高めています。荷重変位の関係図からも、補強による効果の高さが見て取れます。
コンステックの取り組み
コンステックは、1969年の創業以来、鉄骨・コンクリート建造物の調査・診断から補修・補強工事までを一貫して手掛けてきました。長年の経験と実績に基づき、既存建築物の長寿命化に貢献する技術開発に積極的に取り組んでいます。C-VaRTM工法は、その取り組みの成果の一つと言えるでしょう。
まとめ
C-VaRTM工法は、鉄骨造建築物の補強において、安全かつ効率的なソリューションを提供する画期的な技術です。無火気・短工期というメリットに加え、高い強度と耐久性を備えていることから、今後ますます需要が高まると予想されます。コンステックは、本工法を通じて、安全で安心できる社会環境の維持に貢献していきます。