民具とアートの新しいかたちを探る「民具ラボ」
秋田市に拠点を置くNPO法人アーツセンターあきたは、2024年度から民具を中心とした網羅的な研究プロジェクト「民具ラボ」を始動させました。このプロジェクトは、地域の民具をアートと結びつけ、収集や整理・活用を促進するネットワーク型の取り組みです。理事長の藤浩志氏が指揮を執り、地域の研究者やアーティスト、ボランティアが参加し、民具の新たな価値を見出そうとしています。
民具をアートとして再定義
「民具ラボ」の目指すところは、単なる文化財の保存にとどまらず、地域の活用を通じた文化の再創造です。油谷満夫氏が91歳という高齢にもかかわらず、50万点を超える民具コレクションを所有していることから、この活動は「1/1000油谷コレクション」としてスタートしました。これまでに分類整理された1222点は、全体の409分の1であり、今後さらなる進展が期待されています。
具体的な活動内容
2025年度には、民具ラボを発展させ、参加者を広く募る予定です。ボランティアによる分類整理活動は2024年7月から実施され、126人が参加、8月にも続けて行われる予定です。
この期間には、収集された民具を使用したイベントや展示もあり、基本的には秋田市文化創造館や秋田駅ビルALSなどを会場に実施されます。特に8月の活動では、8月4日から24日までの期間中、多彩なイベントや展示を開催する予定です。
民具の活用法
これまでの活動では、活版印刷機の修理、衣類のリメイク、古い調理器具を用いたお菓子作りなど、多岐にわたる民具の利用方法が模索されてきました。単なる鑑賞の対象にとどまらず、ボランティアと協力して新しい形での活用を進め、民具の可能性を探る実験が実施されています。
コミュニティの参加を促進
「民具ラボ」では、参加ボランティアを広く募集しており、興味がある方はアーツセンターあきたのウェブサイトを通じて詳細を確認できます。トークイベントや展示も行い、収集家の油谷氏との対話を通じて、民具が持つ価値をさまざまな視点から検証しています。
民具とアートの日々の交流
このプロジェクトはまた、デジタルコレクションの構築やコミュニティ・アーカイブの形成を目指し、情報発信もおこないます。今後も研究紀要や展覧会を通じて、広く地域社会とつながることを目指します。多くの人々が参加することで、より豊かで持続可能な文化が形成されることを願っています。
「民具ラボ」は、秋田市の文化財を新しい形で再発見し、地域社会のアートと文化の活動の拠点として大きく羽ばたくことを目指しているのです。