酸化還元酵素の解明
2025-01-27 10:35:09

東京理科大学が酸化還元酵素の構造解明に成功しバイオデバイスの進化へ

酸化還元酵素の新たな理解



最近、東京理科大学の研究グループが、電気化学小角X線散乱法(EC-SAXS)を用いて、酸化還元酵素であるビリルビンオキシダーゼ(BOD)の詳細な構造分析に成功しました。この成果は、バイオデバイス技術の向上に大きく寄与するものであり、特にバイオセンサや酵素電極の開発に役立つと期待されます。

研究の背景と目的


酸化還元酵素は、自然界で多くの化学反応を触媒し、生体内の様々なプロセスに重要な役割を果たしています。特に、酵素電極はバイオエレクトロニクス分野での成果を挙げており、酵素の反応を通じて電気信号を生成する能力を持ちます。しかし、これらの酵素が酸化還元反応を行う際に、どのような構造変化が起こるのかは長らく不明でした。

BODは、小型で単一ドメインの酸化還元酵素で、中性条件下で高い活性を示すことから、バイオ燃料電池の酸素還元電極としての用途があります。本研究の目的は、BODの酸化体と還元体における構造的な違いを解明することでした。

研究の進展


研究の主導者である四反田功准教授を含む共同研究グループは、電気化学的手法と小角X線散乱を組み合わせて、BODの構造変化を詳細に調査しました。彼らは、EC-SAXSを利用して、酸化体と還元体のX線散乱データを取得し、解析を実施しました。その結果、BODは酸化還元反応中にオープン型とクローズド型の両方の構造を交互に形成することを明らかにしました。

具体的には、酸化体では主にオープン型、還元体ではクローズド型が形成され、その構造変化はアスパラギン酸残基間の距離に反映されていました。また、通常のSAXS法では異なる添加剤を使用する必要があるのに対し、EC-SAXSでは同一の添加剤で両体を分析できることも確認されました。

この研究によって、酸化還元酵素の反応メカニズムの理解が進むだけでなく、バイオデバイスの性能向上にも貢献すると期待されています。四反田准教授は、本研究を通じて酵素の挙動を解明し、効率的なモノづくりに役立てたいと語っています。

論文情報


本研究は、2024年12月31日に国際学術誌「Langmuir」に掲載されました。著者にはNoya Loew氏や澤原千晶氏、株式会社資生堂の小倉卓氏などが名を連ねています。この論文は、酵素の構造分析の新たな手法を提供し、今後の研究や応用に向けた重要な基盤を築くものとなるでしょう。

今後の研究の進展が楽しみです。生物学的試料の解析が進むことで、バイオデバイス技術はさらなる革新を迎えると考えられます。


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