住友ゴム、資源循環型カーボンブラックをタイヤに初採用
住友ゴム工業株式会社(以下、住友ゴム)は、持続可能な循環経済の一環として、新たに資源循環型カーボンブラックを用いた乗用車向けの量産タイヤの製造を九州の宮崎工場で開始しました。このタイヤには、ケミカルリサイクル技術を用いて製造されるカーボンブラックが使われ、タイヤ製造における環境負荷の軽減を目指しています。
資源循環型カーボンブラックとは?
資源循環型カーボンブラックは、使用済みタイヤや製造過程で生じるゴム片を再資源化するプロセスを通じて生み出されています。三菱ケミカル株式会社との協業により、これをケミカルリサイクルで加工し、タイヤの主原料として再利用します。この取り組みは、2025年1月から始まりました。
住友ゴムは、モータースポーツの最前線でもこの技術を応用しており、2025年8月に行われた『2025 AUTOBACS SUPER GT』のGT300クラスにおいて、資源循環型カーボンブラックを使用したレース用タイヤが採用され、2日連続で優勝を果たしました。これにより、実際の走行性能の信頼性が実証されました。
TOWANOWA(トワノワ)構想
住友ゴムは、タイヤ事業における循環型ビジネスモデルの「TOWANOWA」を推進しています。これは、全体を見渡す10のプロセスから構成される「サステナブルリング」と、各プロセスから取得したデータを統合する「データリング」により、新たな価値を創出することを目指しています。「TOWANOWA」構想は、環境負荷を低減しつつ、お客様への価値提供を目指した取り組みを一層加速させるものです。
協業による持続可能な仕組みの構築
住友ゴムと三菱ケミカルは、カーボンブラックの生産プロセスにおける資源循環の取り組みを連携して進めています。住友ゴムがタイヤ製造過程で得られるゴム片を再生材料として三菱ケミカルに提供し、同社はこれを化学的に分解して新たなカーボンブラックを製造します。この循環システムは、焼却処理される現行の方法に代わり、環境への負荷を軽減すると同時に、持続可能な社会の実現に貢献しています。
未来展望
今後、住友ゴムは「TOWANOWA」の実現を通じてさらなる環境負荷の削減と高性能タイヤの開発に取り組み、新たなソリューションサービスを展開していく計画です。これにより、自社の技術・リソースを最大限に活かし、新しい価値をお客様に提供し続ける意向です。
このように、住友ゴムの取り組みは企業としての社会的責任を果たしつつ、持続可能な未来と新たなモビリティ社会の実現に寄与するものです。期待される未来のタイヤ製品が、どのようにこのビジョンを実現していくのか、今後も注目が集まります。