起業家精神を引き継ぐM&Aの新たな形
近年、日本では企業の倒産が増加しており、2023年の件数は8,497件に達しました。この背景には、資金繰りの悪化や経営の厳しさが影響しています。特に、小規模・零細企業は経営再建にかかる時間やコストが不足し、倒産が避けられないケースが増えています。こうした状況を踏まえ、企業存続のための重要な手法の一つとして注目を集めているのがM&Aです。
実際、M&Aを通じて経営が困難な企業の取引先や従業員を守ることができるだけでなく、人材不足の解消にもつながっています。中でも、ペアキャピタルが支援するM&Aは、特に感情的な背景を持つ事案が増加しています。
T.Creatorsの決断
神奈川県横浜市に本社を置く株式会社T.Creatorsは、歯科医院向けの電子カルテシステムを開発・保守運用する企業です。その代表取締役社長である中村秀子氏は、経営コンサルタントであった父親の想いを受け継いで事業を立ち上げました。しかし、設立早々に父の急逝により、経営は厳しい状況に直面しました。中村氏は、事業の継続が難しくなる中で、取引先や従業員を守るためにはM&Aが最適解と判断しました。特に、取引先への安定したサービス提供や従業員の雇用を重視し、W&Dへの事業譲渡を決意しました。
W&Dの視点
譲渡先となった株式会社W&Dは、東京都新宿区に本社を構える、歯科向けシステムの老舗企業です。38年の歴史を有し、さらなる成長を目指す中でエンジニアの増員に課題を感じていました。このような状況の中でM&Aを選択し、T.Creatorsから2名のエンジニアを迎え入れました。これにより、即戦力となる人材を手に入れたW&Dは、開発スピードの向上やスキルの円滑な共有を実現しました。
M&Aの重要性と今後の展望
M&Aは、特に厳しい環境にある企業が経営を維持するための強力な手段です。従業員や取引先との関係を保ちながら、経営の継続性を確保するためには、不可欠な選択肢と言えるでしょう。今後もM&Aは、企業の存続や成長を促す重要な戦略として、ますます利用されると予測されています。
ペアキャピタルは、M&A仲介のプロとして、企業の経営課題解決に向けたフルサポートを提供しており、日本国内のあらゆる企業にとって欠かせない存在になっています。