日本に暮らす避難民の実態
国際NGOであるプラン・インターナショナルが最近発表した調査は、日本に住む強制避難民の実態と彼らが抱える課題に光を当てています。この調査は、62名の避難民へのアンケートと11名へのインタビューを基にしており、在留資格や就労機会の不安定さ、文化や言語の壁、そしてそれらが彼らのウェルビーイングに与える影響を詳しく調べています。
グローバルな避難民の現状
この調査の背景には、加速するグローバルな強制移住の状況があります。2024年時点で、強制的な移動を強いられている人々は1億2,200万人にも上るとされています。その中で、約3,200万人が難民としての認定を受けるか、あるいは難民に準じる状況にあります。主要な難民発生国には、シリア、ウクライナ、アフガニスタン、そして南スーダンなどが含まれています。
日本国内では、避難民の受け入れ状況が依然として厳しく、難民認定率はわずか1〜2%にとどまっているという現実があります。多くの申請がなされる中でも、認定を受けるのは非常に難しい状況が続いています。このような背景から、多くの避難民が生活や就労の安定を得ることができずに苦しんでいます。
調査の概要と主要な結果
調査の具体的な内容は、以下の通りです。調査対象は日本で暮らす各国の強制避難民であり、定性調査と定量調査に基づいています。この調査は、彼らが直面する具体的な課題と、必要とされる支援を把握することを目的としています。
1.
在留資格と就労がボトルネック
調査結果によると、避難民の35%が今後の生活の最大の懸念として在留資格を挙げています。また、約40%が就労ビザなどへの変更支援を必要としていると答えました。さらに、70%に相当する人々が就職支援を求め、63%は自身の職歴に応じた仕事の確保に難しさを感じていると述べています。
2.
言語・文化の壁
約70%の避難民が言語の課題やコミュニケーションの困難を経験しており、57%が地域住民との交流の機会をほとんど持っていないと回答しています。職場での国籍による拒否を経験した人もおり、文化的な違いによる誤解も多く見られます。
3.
生活の不安定さがウェルビーイングに影響
調査からは、将来の不確実性によるストレスや感情的疲弊が多くの避難民に見られることがわかりました。一方で、55%が日本に住み続けたいとの意向を示しており、自身の成長やキャリアの機会に影響されるとしています。
避難民の声
本調査には、多くの避難民の声が反映されています。例えば、言語の壁がキャリア形成を妨げているというアフガニスタン出身の女性は、「自分らしさを感じる一方で、キャリアの構築に大きな障害を感じています」と語ります。また、シリア出身の男性は、「在留資格が取り消され、就労を続けることができない状況が私の生活を脅かしています」と述べています。加えて、コンゴ民主共和国出身の男性は「就労ビザを得て家族を呼ぶことができて本当に嬉しい」と希望を抱いています。
支援の必要性
このような避難民の状況を受けて、プラン・インターナショナルの職員であるアンナ・シャルホロドウスカーは「専門的な経歴を有する避難民が適切な職に就けるよう、言語の壁や文化的な違いを解消する支援が求められています」と述べています。彼女は、避難民の自立支援が日本社会や経済全体をも良くする可能性があると指摘しています。
今回の調査結果は、日本社会における避難民の実態を新たに知るための貴重な資料となり、これからの支援体制を考える上で重要な一歩となるでしょう。