伝説の春画の全貌を解き明かす
大河ドラマで短く触れられた名作春画、喜多川歌麿と蔦屋重三郎が織りなす『歌満くら』が、ついにその全貌を明らかにします。10月30日(木)に発売される新潮社の書籍『蔦屋重三郎のエロチカ歌麿の春画と吉原』では、この春画の魅力を余すことなく紹介します。
歴史を超えて語り継がれる美の結晶
この熱い春画の背後には、時代を超えた視点が隠されています。蔦屋重三郎は仮住まいとして喜多川歌麿を迎え入れ、二人はそれぞれの才能を結集して作品を生み出しました。『歌満くら』はその代表作であり、美人大首絵のブームの先駆けでもありました。
しかし、当時の人々にはその革新性が受け入れられず、不評を買ったという事実が彼らの旅路に立ちふさがっていました。今回の書籍では、リチャード・レイン博士がこの現象の謎を掘り下げます。
不評から名作への変遷
『歌満くら』の不評の理由は、極めて斬新な表現にあったといいます。顔が見えない大胆なトリミングや、時には驚くような内容のシーンが作品に彩りを添えています。オランダ人カップルの親密な瞬間を描いた場面は、当時では珍しいもので、多くの人々に衝撃を与えました。
本書では、この作品をアップから全図まで網羅しており、春画の魅力を多角的に楽しむことができます。なぜこの作品が後世に名を残したのか、その背景には蔦重の早すぎる死が関わっているのです。
吉原の世界への深い理解
書籍の後半では、歌麿が描いた花魁たちの美人画にも焦点を当てています。吉原の遊女をテーマにした作品は数多く存在しますが、歌麿の作品はその質と量において圧倒的です。浅野秀剛さんによる解説で、彼が描いた吉原の華やかさと悲しみを深く掘り下げる機会となるでしょう。
著者の紹介
リチャード・レイン博士はアメリカ生まれで、日本文化について幅広い研究を行ってきた著名な学者です。その功績は多岐にわたり、古典文学や美術に関しての深い知識が本書にも色濃く反映されています。
浅野秀剛さんは、美術史家として数多くの重要な展覧会を手掛けてきた実績があり、今回の書籍においてもその独自の視点から歌麿の作品の奥深さを示してくれるでしょう。
このように、歌麿と蔦重の黄金コンビが生んだ傑作『歌満くら』は、見る者に新たな発見を提供することでしょう。発売日が待ち遠しい一冊です。