矢作建設工業、持続可能な社会に向けた取り組み
最近、矢作建設工業株式会社は愛知県長久手市に位置する「エンジニアリングセンター」を改修し、2つの重要な認証を取得しました。これらは、建物省エネルギー性能を評価する『ZEB』と、オフィスの健康性や快適性を評価する「CASBEE-ウェルネスオフィス」のSランクです。本記事では、この取り組みとその影響について詳しく見ていきます。
ZEB認証取得の詳細
『ZEB』は、Zero Energy Buildingの略で、エネルギー消費を最小限に抑えることを目的としています。矢作建設工業の改修により、エネルギー消費量を基準値より126%も削減することができました。この成果は、空調や照明の改善、断熱性能の向上、そして太陽光発電システムの導入によるものです。
省エネの実施
改修前の施設では、空調機器の効率に課題があり、照明の明るさも過剰でした。改修後は、屋根の断熱を強化し、空調機器の調整、照明の調光とセンサー制御を実施しました。これによって、エネルギー使用量が50%削減され、さらに屋上に設置した太陽光パネルからはエネルギーの76%を自給することができました。総じてこの取り組みは、建物のエネルギー消費量を正味ゼロまたはマイナスにする『ZEB』の取り組みとして評価されています。
CASBEE-ウェルネスオフィスでの成果
もう一つの認証である「CASBEE-ウェルネスオフィス」は、建物を利用する人々の健康性や快適性を重視しています。矢作建設工業の改修では、空間の見える化や機能性の向上に重点が置かれ、バイオフィリックデザインも取り入れられました。
健康性・快適性の向上
執務室や共用部についてのゾーニングを見直し、健康配慮型の家具やサーカディアン照明を導入することで、従業員の安心感と生産性を向上させました。また、デジタルサイネージを利用して、温度や湿度、CO2濃度を確認できる機能も追加し、快適な作業環境を提供しています。
改修の背景
2020年に日本政府が2050年までにカーボンニュートラルを目指すと宣言して以来、脱炭素への取り組みは急速に進展しています。企業にとって、環境への配慮は経営課題の一つとなっており、人材の確保や定着に向けた快適な就業環境の提供も求められています。矢作建設工業は、こうした社会的要請に応える形で、持続可能な建物の普及を目指しました。
未来の展望
今後は、エンジニアリングセンターで収集したデータを基に、快適性の向上を図っていく予定です。温度や湿度、電力使用量の測定を行い、その結果をもとに今後の運用を見直すことで、さらに技術向上を目指します。これらの取り組みが顧客への提案につながることで、脱炭素社会の実現や働く人々の健康性・快適性の向上に貢献していく意向を示しています。
まとめ
矢作建設工業の今回の改修及び認証取得は、単なる建物の改修に留まらず、社会的なイノベーションを象徴するものであるといえるでしょう。環境に配慮した持続可能な社会の構築に向けて、今後もこのような取り組みが続けられることを期待したいと思います。