カスタマーハラスメントの実態とは
弁護士ドットコム株式会社は、一般会員を対象にカスタマーハラスメント(通称カスハラ)に関する実態調査を実施しました。調査の結果、約7割にあたる人々が自身の言動がカスハラに該当する可能性を認識していないことが明らかになりました。年々問題視されているカスハラの実態を詳しく見ていきましょう。
調査背景
顧客に対するサービスの質が求められる中、カスタマーハラスメントは深刻化しています。特に東京都では2025年4月1日から、顧客の権利と責任を明文化した東京都カスタマー・ハラスメント防止条例が施行されます。この条例に先立ち、カスハラの認識や経験を探るために調査が行われました。
調査内容と方法
調査は、プロフェッショナルテック総研によって実施され、弁護士ドットコムの一般会員から800名の回答を得ました。質問内容には、カスハラの経験、認識、動機、そして新条例の認知度が含まれています。
調査結果の概観
カスハラの経験
調査結果によると、10人に1人が「カスハラをしたことがある」と回答しました。これは、社会におけるカスハラの普及状況を示しており、カスハラ行為がどれほど身近な問題であるかを物語っています。
自己認識の欠如
調査に参加した人々の71.6%が、自分自身の言動がカスハラに該当する可能性に気づいていないと回答しました。これは、カスハラの認識が非常に重要であることを示しており、この認識がなければ問題解決は難しいと言えるでしょう。
カスハラの動機
カスハラ行為を行う動機として最も多かったのは「正当な批判・論評だと思ったから」で、60.5%がこの理由を挙げています。続いて「怒りが収まらない」が45.7%で、感情的な反応がカスハラ行為に直結することが示されています。さらに、イライラを発散したかった、攻撃しても構わないなどの感情も影響を与えています。
東京都条例の認知度
今後施行される東京都カスタマー・ハラスメント防止条例について、55.6%が「知らない」と回答しました。この結果は、カスハラに対する対策が周知されていないことの一因でもあります。
法律への期待
条例施行に対する効果の期待については、41.3%の人々が「効果はあまりない」と考えています。理由には、罰則がないことや、自覚のないカスハラ加害者が多いことが指摘されています。一方で、一定の効果が期待できるとの声も聞かれます。特に、条例を通じて意識が変わるきっかけになることを願う声が多く集まりました。
専門家の見解
能勢章弁護士は、この調査結果に違和感を感じていないとのこと。自己の言動を正当化しがちなカスハラ加害者の特性が、そのまま調査結果に表れていると指摘します。条例の効果については慎重な見方をしつつも、周知と意識改革が重要だと強調しています。
まとめ
カスタマーハラスメントは、私たちの日常生活の中で非常にリアルな問題です。新条例の施行を前に、自己認識の欠如や企業の対応力を見直すことが急務となります。カスハラ対策のためには、まず私たち一人ひとりの意識を高め、相手を尊重する姿勢が求められるのではないでしょうか。