山岳トンネル工事の自動化が実現！新システムによる効率的なコンクリート打設

山岳トンネル工事が変わる！自動打設システムの開発

株式会社奥村組と北陸鋼産が共同で開発した新しい覆工コンクリートの自動打設システムが、山岳トンネル工事の現場に革新をもたらそうとしています。このシステムは、従来の打設手法に比べて省人化・省力化を実現するだけでなく、安定した品質のコンクリート打設を可能にします。

現場の課題とソリューション

山岳トンネル工事における覆工コンクリートの打設作業は、多くの熟練技能労働者を必要とします。しかし、近年は慢性的な人手不足が深刻化しており、必要な人数を確保するのが困難になってきています。また、熟練度に依存するため、品質のばらつきが生じやすく、作業の多くは狭い空間で行われるため、従事者への負担も大きくなっています。

このような現状に対して、奥村組は、自動打設システムの開発に着手しました。これにより、作業の省人化だけでなく、より安定したコンクリートの品質を確保することが期待されています。

自動打設システムの仕組み

新たな自動打設システムは、奥村組が以前に開発した「高速打設システム」と「圧力計による打設高さ検知システム」を統合したものです。これにリモコン操作の圧送ポンプとバイブレータを組み合わせ、自動でコンクリートを打設する仕組みを実現しました。特に、打設の高さに応じて圧送速度を調整し、打設口の切り替えを最小限にすることで、作業の効率化を図っています。

【図-1】自動打設システム概要

ダイナミックに機能を共有するシステムは、作業の一連の流れをスムーズにし、打設中の中断時間を大幅に削減します。

実大規模施工実験における成果

最近行われた実大規模施工実験では、中流動コンクリートを使用し、本システムの有効性を検証しました。作業者の経験に依存せず、圧力計による測定値を基にバイブレータの作動タイミングを自動制御することで、所定の品質基準をクリアしていることを確認しました。

また、異なるメーカーのポンプを用いた試験でも汎用性が示され、他の現場への適用可能性も期待されています。これにより、山岳トンネル工事の施工方法が進化し、定量的なデータに基づく判断が可能になるのです。