薬剤耐性(AMR)対策イベントレポート:未来への課題、抗菌薬の賢い使い方とは?
2024年11月2日、東京薬科大学にて、内閣官房内閣感染症危機管理統括庁、AMR臨床リファレンスセンター、東京薬科大学共催による薬剤耐性(AMR)対策普及啓発イベント「未来への課題、『薬剤耐性』~いま、できることはなんだろう~」が開催されました。
近年、抗菌薬が効かない薬剤耐性菌の増加は深刻な問題となっています。このイベントは、AMR問題への理解を深め、抗菌薬の適正使用を促進することを目的としています。
イベントには、国立国際医療研究センター病院副院長の大曲貴夫先生をはじめ、ファッションモデル・俳優の村上愛花さんが登壇。大曲先生は薬剤耐性のメカニズムや現状を分かりやすく解説。抗菌薬がウイルス性の風邪には効果がないこと、不必要な使用が耐性菌を生む危険性、そして現代医療における抗菌薬の必要性を強調しました。
村上さんは自身の経験を交えながら、薬剤耐性問題への関心の重要性を訴えました。具体的なエピソードや自身の考えを語ることで、参加者との共感を生み出し、問題意識の共有を促しました。
講演後には質疑応答セッションが設けられ、参加者から活発な質問が寄せられました。専門家による丁寧な回答は、参加者の理解をさらに深める一助となりました。
イベントで特に強調されたのは以下の点です。
抗菌薬は風邪などのウイルス感染症には効果がない:ウイルス感染症には抗菌薬は不要です。適切な休息が重要です。
不必要な抗菌薬の使用は薬剤耐性のもと:抗菌薬は医師の指示通りに服用することが大切です。自己判断での使用は避けましょう。
風邪症状があるときには休息が一番:安静にして、自然治癒力を高めることが重要です。
現代医療では、細菌性感染症の治療に抗菌薬が必要不可欠:細菌感染症の治療には抗菌薬が不可欠です。しかし、その使用は適切に行う必要があります。
薬剤耐性菌の出現は外科手術や出産、病気の治療などの場面でも大きなリスクになる:薬剤耐性菌は、医療現場における様々な場面で大きなリスクとなります。
薬剤耐性菌による感染症は治療が極めて困難:薬剤耐性菌に感染した場合、治療は非常に困難になります。
イベント全体を通して、薬剤耐性という問題の深刻さと、一人ひとりができる対策の重要性が改めて認識されました。参加者たちは、抗菌薬の適切な使用、そして健康管理の重要性を再確認した様子でした。
内閣感染症危機管理統括庁は、今後も薬剤耐性対策に関する啓発活動を継続していくとのことです。私たち一人ひとりが、この問題に関心を持ち、適切な知識と行動をもって取り組むことが、未来の健康を守るために不可欠です。
イベント概要
タイトル:未来への課題、『薬剤耐性』~いま、できることはなんだろう~
日時:2024年11月2日(土)13時~14時
場所:東京薬科大学(東京都八王子市堀之内1432-1)教育1号館2階1201講義室
参加費:無料
* 共催:内閣官房内閣感染症危機管理統括庁、AMR臨床リファレンスセンター、東京薬科大学
「薬剤耐性(AMR)対策推進月間」について
毎年11月は「薬剤耐性(AMR)対策推進月間」として、政府機関や民間団体が一体となって普及啓発活動に取り組んでいます。抗菌薬は医師・薬剤師・獣医師の指示に従い、正しく使用することが求められています。