サーチファンドの変革と地域活性化への期待 ─ 2022年度の実績と2023年度の展望

サーチファンドの変革と地域活性化への期待

サーチファンドは、特に近年、その重要性が増しています。2019年までほとんど知られていなかったこのM&Aの手法が、2022年度には5件の事業承継を実現しました。これにより、サーチファンドへの関心が高まり、今後の成長が期待されています。

サーチファンドとは？

サーチファンドは、経営者を目指す個人（サーチャー）が、投資家から資金を調達し、後継者不在の企業を探して経営権を取得する仕組みです。このモデルは、アメリカから発祥し、買収前に多くの企業を訪れ、現社長とコミュニケーションを取ることが特徴です。このプロセスを通じて、譲渡する側の企業に適した後継者を選ぶことが可能です。

2022年度の主な実績

2022年度のサーチファンドによる事業承継は5件が成立しました。特筆すべきは、福井県が自治体として初めてサーチファンドの活用に取り組んだことです。また、2023年度には横浜銀行がサーチファンド事業に新たに参入すると発表し、その影響が楽しみです。

サーチファンドを活用した事業承継の仕組みでは、サーチャーと契約するファンド事業者が、事業承継候補となる企業の紹介を受けつつ、プロジェクトを進めることが一般的です。また、直近ではトラディショナル型のサーチファンドも増加しています。これは、サーチャーが自ら承継先を探すスタイルです。

メディアの注目度の上昇

近年、サーチファンドに関するメディア露出が増加しており、2022年度には合計91件の掲載がありました。特に、WEBやテレビでの取り上げが目立ち、サーチファンドの滑り出しは好調です。これによって、一般の認知度も向上し、今後の企業オーナーに対する働きかけが期待されます。

地域活性化への期待

サーチファンドが地方経済活性化に寄与する点も見逃せません。福井県が設立した「社長人材誘致支援プロジェクト」による支援は、その一例です。このプロジェクトでは、地域の企業情報を提供し、訪問するサーチャーに対する旅費支給や事業承継が決まった際のインセンティブが用意されています。今後は企業見学会なども予定されており、サーチファンドが地域の事業承継の解決策となるでしょう。

未来への展望

2023年度に向けて、金融機関のサーチファンドへの参入がさらに進むと予測されます。金融機関とサーチファンド運営者（GP）との連携が強化され、金融機関からの資金調達によって中小企業の後継者不足を解消する機会が広がるでしょう。

サーチファンドは、少子高齢化が進む日本において、事業承継の新たな道を切り開く可能性を秘めています。今後の動向に注目し、サーチファンドによる事業承継がどのように社会に貢献していくのか、その行方を見守りたいと思います。