川と海をつなぐ体験
岐阜県で2月2日に開催された『日本さばける塾 in 岐阜県』は、このエリアの特産である県魚「鮎」を中心にした独自のイベントです。一般社団法人海のごちそう推進機構と海と日本プロジェクト岐阜が主催し、将来の世代に海の恵みを伝え、豊かな海洋環境を守ることを目的としています。午前と午後の部合わせて、8組16名の小中学生とその保護者が参加しました。
このイベントの主な内容は、実際に魚をさばく体験、地域の海洋変化や魚種の変遷に関する学習、さらには「海を味わう十の技法」に基づく調理体験です。
参加者が体験した五つの工程
.
1.
鮎の生涯から岐阜県の山・川と海とのつながりを学ぶ
鮎がどのように成長していくか、またその成長過程で川と海がどのように関連するのかを学びました。子どもたちは、鮎がプランクトンを食べて成長し、再び川に戻ってくる多様な生態について触れました。
2.
鮎のさばき体験・調理実習
参加者は、さばかれた鮎を使った調理に挑戦。調理法には「切る」「煮る」「焼く」などの和食の基本から、独自の郷土料理まで様々な技法が用いられました。特に、岐阜の郷土料理をモチーフにしたレシピは、参加者の興味を引きました。
3.
調理したものの試食
調理後は参加者全員でその成果を味わい、食を通じて鮎の持つ魅力を再発見しました。
海の恵みと環境のつながり
講師の内藤彰俊さんは、参加者に環境教育を提供しました。海や川に流れるゴミが生態系に及ぼす影響を伝え、環境問題への関心を高める内容となりました。特に、環境を汚すことの影響を実感した参加者が多かったようです。
「川の近くに住んでいるので、魚たちは私たちの行動によって影響を受けている。環境を守ることは、自分の食卓を守ることと理解しました」と一参加者は話していました。
オリジナル郷土料理を通じた体験
このイベントでは、鮎を材料にしたオリジナル料理が作られました。具体的には、以下のような料理が試食されました。
鮎を三枚おろしにし、地元のしいたけと共にホイル焼きスタイルで調理。地元の調味料である「鶏ちゃん」のタレで味付け。
鮎の骨から取った出汁を使用した一品。食材を無駄にせずにフードロスを防ぐ知識を子どもたちに伝える良い機会になりました。
鮎を背開きにして焼き、田楽味噌を塗って試食しました。地域の伝統的な食文化も体験することができ、和食の深さを感じました。
このように、参加者は鮎を通して日本の豊かな食文化を体感し、実際にその一部を担うことができました。行事の最後には、「魚は私たちの生活だけでなく、環境にも大きな影響を与えている」との言葉が強調され、より深い理解へと導かれました。
今後ともこのような取り組みを通じて、地域の子どもたちが環境問題に感心を持ち、身近なものとして捉えることができる環境を作っていければと考えます。