仙台市青葉区にて、聴覚障害を抱える高齢者のための「正しい足の爪切り・爪ケア」教室が初めて開催されました。参加者は50代から80代の男女15人で、2名の手話通訳者の支援のもと、円滑なコミュニケーションが図られました。この社会生活教室は、株式会社マルナニエの主催によるもので、同社は宮城県内で高齢者向けの足の爪切り事業を展開しています。爪に関する知識を深め、実生活に役立つスキルを学ぶ場として設けられたこの教室に、参加者たちは期待を込めて参加しました。
近年、足の爪を自ら手入れできない高齢者が増加し、その数は約700万人に達しています。高齢者は視力や握力が低下することにより、爪を切ることが困難になり、「爪難民」と呼ばれる人々がその一因とされています。爪を長期間放置した結果、爪が厚く、硬く、変形してしまう場合も多く、外出することすら難しくなることがあります。聴覚に障がいを持つ人々にとって、生活に必要な情報を得ることすら困難であるため、正しい知識を提供することは非常に重要です。
当日の教室では、手指の運動能力に合わせた爪切りのテクニック、ネイルニッパーや爪やすりの効果的な使い方、さらに、柔らかい歯ブラシを用いて爪を清潔に保つ方法など、実践に即したアドバイスが行われました。参加者からは、「爪が持つ重要性を再認識した。手足の機能を支えるために、ケアが必要だと感じた」という声が寄せられ、今まで知らなかった爪に関する驚きの発見があったことが伺えます。
この活動を支えている仙台市聴覚障害者協会からも反響があり、代表の高橋則子さんは「聴覚障害を持つ高齢者にとって、情報が得やすい環境を整えることが重要で、今回の教室はその一歩として大変意義がある」と述べていました。参加者が互いに手話で感想を交わし合う姿は、感動的であり、コミュニケーションの重要性が再確認される瞬間でした。
講師を務めたマルナニエの代表、小磯麻有は「講座では視覚に訴える内容を意識し、イラストや動画を多用しました。手話通訳者との連携も強化し、スムーズに情報を伝えられるように心がけました」と振り返ります。爪ケアの知識や技術を広める活動は、今後も続けていく意向を示しています。マルナニエは、高齢者向けの爪切りサービス「つめトピア」を中心に、在宅での爪ケアや技術者の養成、さらには地域の講演活動を通じて、正しい爪ケアの重要性を広めていく予定です。爪の健康が高齢化社会の問題を解決する一助となることを目指し、さらなる啓発活動に取り組んでいく所存です。
高齢者とその家族が安心して生活できる環境作りを進める中で、爪の状態がもたらすリスクを認識し、日常的にケアすることがどれほど重要かを今後も伝えていきたいと考えています。爪の健康を知ることで、一人でも多くの「爪難民」を減らすことができるのではないかと期待が高まります。