CO2回収技術が日本の鋳造業界に革命をもたらす
株式会社IJTT(アイジェイティーティー)、株式会社バイウィル、及び株式会社Santa Mineralの三社が、新たな連携協定を発表しました。この取り組みでは、空気中からCO2を直接回収する技術(DAC: Direct Air Capture)を用い、環境価値の創出を目指します。
実証実験の概要
このたびの実証実験は、Santa Mineralが開発したCO2吸収・固定装置「SUKUU」を、バイウィルのオフィス及びIJTTの北上工場に設置し、常時運用するものです。これは国内で初めてとなる試みで、回収したCO2はコンクリートに固定化され、バイウィルが主導して新たなJ-クレジット制度の方法論「IN-006:CO2吸収型コンクリート」に基づいてプロジェクト登録を進めます。2026年までにカーボンクレジットの創出を目指します。
有望な技術とその応用可能性
DAC技術は、将来的に他の分野への応用が期待されています。特に、鋳造業界においては多くのCO2が排出される現状を考慮すると、この取り組みは製造業全体の脱炭素化の一助となるでしょう。また、海洋でのCO2固定化の実現により、吸収・固定量が飛躍的に増加する可能性も秘めています。これにより、日本の製造業は新しい価値を生み出し、持続可能な未来に向けた一歩を踏み出すことができると期待されます。
環境負荷の軽減に貢献する現場実証
この実証実験の重要な要素は、実際の業務環境内での運用です。これはラボや特別な施設に頼ることなく、一般のオフィスや製造現場においてCO2吸収・固定装置を常時運用するという新しいアプローチを取ります。IJTTは自社の鋳造工場を提供し、バイウィルは自社オフィスでの運用を行います。これにより、実際の産業環境におけるデータ収集が可能となり、技術の実用性をより一層検証することができます。
それぞれの企業の役割
IJTT
自社の鋳造工場での実証フィールドを提供
廃砂を再利用したCO2吸収・固定セラミックの開発を推進
バイウィル
プロジェクト全体の管理及び、J-クレジットの新たな方法論を活用した証明を主導
創出されたクレジットを使った新ビジネスモデルの構築
Santa Mineral
CO2吸収装置の効率化及び安定化を目指す
CO2固定化に必要なミネラルの量産化を推進
「SUKUU」の特長とその意義
「SUKUU(スクウ)」という名称は、心温まる日本語が持つ意味を十分に反映しています。具体的には、「掬う」「救う」「吸う」という三つの意味が込められており、単なる技術の枠を超えて、地球環境を守る意義深い仕組みであることを示しています。この装置は、従来のDAC技術に比べ、CO2回収に必要となるエネルギーやコストが圧倒的に少なく、過酷な環境でも運用できる堅牢さを持っている点が特に特筆されます。これにより、様々な企業や場所での導入が可能で、社会実装がしやすいという利点があります。
呼びかけ
この試みは、単に企業間での技術革新を促進するだけではなく、他の高排出産業に対するアプローチモデルともなり得るでしょう。CO2を巧みに資源へと変貌させるカギを握るこのプロジェクトに、ぜひ注目してください。これからの日本の製造業が持続可能性を追求する姿に、私たちも一歩を踏み出すこととしましょう。