カールツァイス、進化したFIB-SEMを日本市場に投入
カールツァイス株式会社が、日本市場に新たな集束イオンビーム走査電子顕微鏡、通称FIB-SEMの新モデル「Crossbeam 550 Samplefab」を発表しました。この製品は、透過電子顕微鏡(TEM)用の薄膜試料、すなわちラメラの全自動作製に特化したものです。昨年10月に海外で先行して発表された後、このたび日本での販売が開始され、半導体ラボの需要に応える新たな選択肢として注目を集めています。
自動化と効率の追求
Crossbeam 550 Samplefabは、TEM試料作製におけるプロセスの自動化を徹底的に追求して設計されており、その目的は、半導体デバイスの欠陥解析とプロセスの歩留まり向上に貢献することです。このシステムでは、オペレーターの介入がほぼ不要であるため、効率的にラメラを作製することが可能です。
具体的には、同システムはバルクミリング、リフトアウト、シンニングといった前処理をレシピに基づいて自動化しており、8時間以内に最大10枚のラメラを作成することができます。これにより、オペレーターは作業から解放され、他の業務に集中することができます。
高い成功率と正確性
さらに、Crossbeam 550 Samplefabの自動化率は90%に達し、自動チェック機能によりラメラの損失を防ぐことで、作製成功率はほぼ100%に向上しています。使用される薄膜化技術は、あらゆる半導体サンプルに対応可能で、厚さ100nmまでの薄膜を形成することができます。
先進的なソフトウェアで操作も簡単
新たに導入された直感的なソフトウェアは、初心者から上級者まで誰でも容易に操作できる設計となっており、安定した操作環境を提供します。これにより、さらに作業の効率が上がるでしょう。
企業のビジョン
カールツァイスのエレクトロニクス部門を率いるThomas Rodgers博士は、Crossbeam 550 Samplefabの開発にあたり、「TEM試料作製における業界からの需要に応えることを目指しました。最も堅固な自動化を実現し、精度とスループットを両立させることが重要です」と語っています。このシステムは、従来の手作業に比べて、よりスマートかつ効率的な作業が実現できることを示しています。
技術者の負担軽減と生産性向上
Crossbeam 550 Samplefabは、Gemini 2電子カラムを搭載しており、FIBミリング中にリアルタイムのサンプル観察が可能です。その安定した性能により、校正やアライメントの頻度を大幅に削減できます。この機能により、カスタマーサポートの負担を軽減し、ツールのセットアップ時間の短縮にもつながります。さらに、プローブチップは数十枚のラメラを再生可能で、コスト削減にも寄与します。
今後の展開
カールツァイスは、6月9日から11日まで福岡国際会議場で開催される日本顕微鏡学会第81回学術講演会に出展予定であり、Crossbeam 550 Samplefabを紹介します。また、6月20日には、天神で行われるZEISSテクニカルカンファレンス2025においても本製品の詳細を説明する予定です。
企業背景
カールツァイスは1846年にドイツで設立された光学技術のリーディングカンパニーで、日本では1911年より事業を展開しています。現在は、半導体製造技術、産業品質・研究、医療技術、消費者向け市場など、幅広いセグメントで革新を推進しており、約46,000人の従業員を抱え、高品質なソリューションを提供しています。生産・開発拠点は世界各地に存在し、日々進化する技術の最前線を支えています。
詳細については、
ZEISS Crossbeam 550 Samplefabの公式ページをご覧ください。