アメリカザリガニがカエル類に与える影響と駆除の必要性

岡山大学の研究グループは、最近の調査によって外来生物であるアメリカザリガニが、日本のカエル類、特にニホンアカガエルに対して強い捕食圧をもたらすことを明らかにしました。この研究は、2023年6月にアメリカザリガニが環境省と農林水産省により「条件付特定外来生物」に指定されたことを受けて行われ、在来生物にいかに深刻な影響を及ぼすかについての新たな視点を提供しています。

研究の背景

アメリカザリガニは日本国内で一般的な生き物と考えられていますが、近年、多くの在来種が絶滅や減少の危機に直面する中、アメリカザリガニの影響が指摘されてきました。特に両生類においては、アメリカザリガニが定着してから在来カエル類が数を減らす事例が全国各地で報告されています。岡山県内の絶滅危惧種ナゴヤダルマガエルの減少も、その一例です。

研究の方法

研究者たちは、ニホンアカガエルの卵や幼生がアメリカザリガニに捕食される可能性を探るため、実験を行いました。24時間同居させる水槽実験により、イモリ類やサンショウウオ類など他の両生類にも影響を与える可能性があることを確認しました。

実験結果と解析

その結果、アメリカザリガニがニホンアカガエルの卵や幼生に対して非常に強い捕食圧を持つことが明らかになりました。特に、隠れ家（水草）がある環境下でも、ニホンアカガエルの幼生が小型のアメリカザリガニには対抗できるものの、中型・大型の個体に対してはその効果が薄れることがわかりました。これにより、アメリカザリガニのサイズに応じた管理方法が求められます。

今後の行動

この研究から、希少カエル類を守るためには、アメリカザリガニの侵入を防ぎ、既に定着した個体を効果的に駆除する必要性が強調されます。環境保護の観点から、在来種を守るための適切な対策が喫緊の課題であることは明白です。

研究者のコメント

Quang-Tuong Luong学生（当時）は、「在来カエルに対するアメリカザリガニの脅威を解明できたことは重要であり、今後の保全活動に生かしてもらいたい」と述べています。また、中田教授も「アメリカザリガニは特にその雑食性から、多くの在来生物に影響を与えている。我々は迅速かつ適切な対策を講じる必要がある」と強調しました。