没後50年を迎える田坂具隆監督の特集上映
国立映画アーカイブが提案する特集上映「没後50年 映画監督 田坂具隆」が、2024年10月8日から始まります。この企画は、長らく再評価の機会が与えられなかった田坂具隆の偉大な作品群を改めて紹介し、その独自の作風を再確認することを目的としています。彼は1902年に生まれ、1974年に亡くなるまで、日本映画に多大な影響を与え続けました。
田坂監督の軌跡を辿る
特集上映では、田坂の全作品を網羅した41作品、32プログラムが予定されています。1927年のサイレント映画『更生』から、彼の晩年の作品である1968年の『スクラップ集団』まで、各作品は田坂が描いたヒューマニズムや社会への深い洞察を感じさせるものばかりです。特に、彼が手がけた文芸作品や戦争映画、さらには故郷で撮影された記録映画などが上映されます。
中でも『この父に罪ありや』(1937)や『五人の斥候兵』(1938)は、戦時下における人々の葛藤や希望を鮮やかに描き出しています。特に『ぼくらのゆめ』(1950)では、被爆地・広島の現状を記録し、観客に衝撃を与えることでしょう。
俳優たちとの共同作業
田坂は多くの著名な俳優たちと協力し、それぞれの才能を引き出しました。特集上映では石原裕次郎のデビュー作『乳母車』(1956)や、中村錦之助の『ちいさこべ』(1962)、さらには佐久間良子が主演する『五番町夕霧樓』(1963)など、彼が輝くスターたちとのコラボレーションを堪能できます。
田坂と関わりを持った人々
また、田坂を支えた人々の作品にも焦点が当てられます。瀧花久子や伊奈精一、内田吐夢らとの関係が、この特集の中で重要な役割を果たしています。特に『限りなき前進』(1937)や『感激の一夜』(1939)など、彼らの作品を通じて、田坂が残した映画文化の広がりを実感できます。
サイレント映画の魅力を再利用
特集上映においては、サイレント映画の上映も行われ、弁士や伴奏によるパフォーマンスが用意されています。『更生』や『愛の町』といった作品を、豊かな音楽と語りで楽しむことができます。映像と音が一体化したサイレント映画は、今の時代に再びその価値を見出されつつあります。
開催情報
この盛大な特集上映は、2024年10月8日から10月20日、そして11月5日から11月24日まで開催されます。場所は国立映画アーカイブ長瀬記念ホール(OZU)で、月曜日は休館です。チケットに関する詳細や最新情報は、公式サイト(
国立映画アーカイブHP)をご確認ください。
田坂具隆監督の映画体験を通じて、彼のヒューマニズムと情熱を再発見する貴重な機会をお見逃しなく!