2024年に入り、ユニセフは全世界で約200万人の子どもが重度の消耗症に苦しむ危機的状況を訴えています。この状況の背後には、資金不足による栄養治療食の調達不能があるといいます。これらの子どもたちは、紛争、経済的ショック、気候変動といった複数の要因によって深刻な栄養不良に陥っています。
特に5歳未満の年齢層においては、消耗症の発生率が非常に高く、ユニセフの子どもの栄養と発達局長ビクター・アグアヨ氏は「過去2年間、世界規模の取り組みにより栄養支援プログラムが拡大され、多くの命が救われた。しかし、今こそさらなる緊急行動が求められている」と警鐘を鳴らしています。
現在、最も影響を受けている国々では、すでに栄養治療食が底を突きかけており、特にスーダンやマリ、ナイジェリア、チャドなどの地域では、2024年の早い時期に必要な栄養治療食の備蓄がなくなる見通しです。例えば、マリでは2024年に5歳未満の子ども約30万人が消耗症に苦しむとされており、そのためのRUTF(すぐに食べられる栄養治療食)の供給が不足しているため、即時の治療を受けられない恐れがあります。
アフリカのサヘル地域では、長期的な干ばつやさまざまな環境リスクが影響しており、これが子どもたちの栄養状態を悪化させています。特に、チャドではこちらも緊急事態が宣言され、今年中に50万人以上の子どもが重度の消耗症に陥ることが予測されています。
ユニセフは、国際社会に対し1億6,500万米ドルの支援を求めています。この資金は、危険にさらされている子どもたちへの栄養治療ケアを提供するために不可欠です。また、ユニセフが立ち上げた「一刻も無駄にしない(No Time to Waste)」イニシアティブにより、これまで9億米ドル以上の支援が集まり、2,150万人の子どもと女性に対して栄養支援が提供されています。
また、2023年には英国外務国際開発省やビル&メリンダ・ゲイツ財団と連携して、「子どもの栄養基金」が設立され、これは地域で栄養強化食品やRUTFの生産を支援し、さらなる食材供給の安定化を目指しています。
しかし、アグアヨ局長は「持続可能な戦略と継続的な資金がなければ、このままでは子どもたちの命が失われる可能性が高い」と警告しています。世界中で厳しい環境下にある子どもたちの健康状態を守るために、多くの人々の協力が急務です。これらの緊急に必要な支援が実現しなければ、多くの命が危険にさらされ続けるでしょう。
ユニセフは、その活動を支えるために、個人や企業からの募金を募っており、全国的な広報活動を展開しています。子どもたちが必要とする食事を手に入れられるよう、私たち一人ひとりが行動を起こす時です。国際的な支援がなければ、子どもたちの未来は危険にさらされ続けます。これは、単なる食事問題ではなく、子どもたちの未来を守るための喫緊の課題であると認識する必要があります。