無人店舗型喪服レンタルが生む新たな社会インフラ展開について
エンジェルラウンド株式会社が、系列Aラウンドで約5億円を調達した『喪服レスキュー』への出資について、当社の代表・大越氏の視点からその背景を探ってみたい。
喪服は買いたくない商品
喪服は、一般的に誰もが進んで購入したくない商品です。にもかかわらず、毎年の着用機会は増加し続けています。喪服レスキュー社の推計によると、2038年には年間約5,600万回に達する見込みです。このようなユニークな需要は、「いつ必要になるか予測不可能だが、必ず誰かが必要としている」という保険のような性質を持っています。
ソリッドベンチャーとの出会い
エンジェルラウンドは「ソリッドベンチャー」を志向する企業に投資する方針を持っていますが、喪服レスキューと出会ったのは、同社からの一通の問い合わせがきっかけでした。共同創業者の永江氏が「利益を出しつつエクイティ調達による非連続な成長を考えている」とのメッセージを通じて、ビジョンの一致を感じました。
初回の面談では「無理に資金調達をしなくても現状の利益で成り立つが、多店舗展開を目指すなら資金調達が必要だ」との話をしました。その後、1ヶ月の協議を経て、同社から「エクイティファイナンスで伸びる」という決断が伝えられました。これは、企業が自ら選択肢を選んで行動する力強さを示しています。
24時間無人店舗の価値
喪服の需要は、他の商品と異なり、接客のあり方が問われます。深夜などに訃報を受け取った際、利用者は店舗で店員に接しながら試着をすることに気を使いたくありません。喪服レスキューの無人店舗は、24時間利用可能で、誰にも気を使わず選ぶことができるという点で、利用者への深い配慮がなされていると言えます。
継続的な需要の存在
日本の弔いは、1日で終わるものではありません。四十九日や一周忌といった儀礼が続き、喪服の利用機会は継続的に存在します。この市場は、「喪服を持っていない人」ではなく、「今すぐに必要な喪服がない人」が本当のターゲットであるという理解が重要です。
業界連携とインフラ創出
喪服レスキューは、無人店舗型レンタルのパイオニアとして、大手クリーニング会社や斎場運営企業と連携し業界全体を巻き込む動きを見せています。競合ではなく、供給網として取り込むことで、「急な弔事を支えるインフラ」を構築しようとしているのです。
今後の展望
このように、喪服レスキューの事業は「ソリッドベンチャー」として利益を上げつつ、人々の安心を提供する取り組みとして成長を続けています。災害や不幸な出来事が一番起こらないことを願いつつも、必要とされる場面でこのサービスを思い出してもらえるよう挑戦していくことが我々の使命です。相手を思う深い配慮と、社会ニーズを的確に捉えた喪服レスキューの取り組みは、今後も注目されることでしょう。