ブルゴーニュのクリマ登録10周年 記念式典に寄せて
2025年7月4日、ブルゴーニュ地方の「Climats du vignoble de Bourgogne」がユネスコ世界遺産に登録されてから10年を迎える記念式典が、ピュリニー・モンラッシェのドメーヌ・ルフレーヴにて開催されました。この式典は、自然環境への配慮が表れた木造セラーで行われ、ただの醸造施設としてではなく、伝統と未来をつなぐ象徴的な空間として注目を集めています。
このセラーは、ドメーヌ・ルフレーヴの精神を映し出すものであり、環境に優しい省エネ設計が活かされています。式典には、ユネスコの関係者や地方政府、文化団体、ワイン生産者が集まり、風土とその継承、そして人々の責任について語る場となりました。
ブリス・ド・ラ・モランディエールのメッセージ
式典では、ドメーヌ・ルフレーヴの当主ブリス・ド・ラ・モランディエールがスピーチを行いました。彼は「クリマ」という言葉が、ブルゴーニュにおいて特別な意味を持つことを強調。これは土地や歴史、そして人間の営みから成り立つ文化的記憶を指しており、これを語り継ぐことが造り手の責任であると伝えました。
「この登録は決して終わりではなく、新たなスタートであり、私たちが持つべき継承の義務です」と彼は述べ、土地を守る者としての揺るぎない覚悟を見せました。ブリス氏の言葉には、風土を守り続ける意志と、それを次の世代に引き継ぐ責任が色濃く刻まれています。
300年以上の歴史を持つルフレーヴ家
「ドメーヌ・ルフレーヴは1717年から私たちの家族が受け継いできたワイナリーであり、今や4代目となっています。」とブリスは語ります。300年以上にわたり、ルフレーヴ家はモンラッシェの一等地を守り続け、その精神は単にワインを生むという営みを超え、土地に仕える思想が根付いています。
彼は、「私たちの目指すところは、各々のクリマの特性を表現することです。ワインは単なる飲み物ではなく、文化のメッセージでもある」と強調しました。このような心情をもって、ワインがどのように土地の個性を映し出すかを語り、未来への希望を滲ませます。
10年という節目を越えて
ブリス氏は、登録からの10年間が始まりに過ぎないと述べ「クリマたちが未来永劫に輝き続けることを願っています」と結びました。彼の言葉は、セラーの静けさの中で、静かにしかし深く人々の心に響きました。式典は、風土への責任を再確認し、未来に向かって新たな一歩を踏み出す機会となったのです。
未来への祈り
最後に、ブリス・ド・ラ・モランディエールは「私たちが今日はクリマを敬い、その生きた責任を引き継いでいます」と語り、ドメーヌ・ルフレーヴのワイン造りが味わいの追求にとどまらないことを強調しました。心に響く言葉とともに、彼は兵どもが未来を見据え、文化の営みを続けていく使命を果たしていく意志を見せました。これからも、彼らの風土に対する思いが、多くの人々に伝わり続けることでしょう。