レクシスネクシスが発表した「Innovation Momentum 2025: The Global Top 100」では、特許データを元にした技術開発の動向を分析し、世界のイノベーションをリードする企業100社を選出しました。今年で4回目となる本レポートは、過去2年間の特許技術の進化を測定し、企業がいかにして自社のイノベーションを同業他社と比較できるかの新たな視座を提供しています。
今回の選出に際して注目されるのは、新たにランクインした2社です。一つは、日本のKOKUSAI ELECTRIC。これは半導体製造装置を開発・生産し、世界の電子産業に向けてソリューションを提供する企業です。そしてもう一つは、中国のCXMT(ChangXin Memory Technologies)で、こちらはDRAMメモリーチップの製造を行っています。両社は半導体業界の重要なプレイヤーとして、その革新性が評価されました。
エンジニアリング業界においては、航空宇宙分野から持続可能な技術の発展まで、多様な分野での成長が顕著です。この成長を牽引しているのは、日本のJFEホールディングスやRTX Corp、Siemens、Rolls-Royce、thyssenKruppなどの企業です。これらの企業は、大規模な技術革新を促進しており、新たな選出が加わったことで、業界に新風をもたらしています。
今年の選出リストには、新規に18社が加わりました。これにより半導体、エネルギー・化学、医療・バイオテクノロジー、エンジニアリングといった多様な分野からの技術融合が進んでいることが明らかになりました。
さらに、過去10年間で特許の生存数が89%増加しており、特許活動の活発化が全世界で進行中です。特に情報技術(IT)、製薬、半導体業界は強い推進力を持ち、異業種間の技術融合が進化しています。
地域別のトレンドにも注目が集まります。米国では46社が選出され、アジアからは23社がランクイン。しかし、EMEA(欧州、中東、アフリカ)からは30社がランクインし、製薬や製造分野での成長が際立っています。特に、AppleやAlphabet、IBMがリーダーシップを発揮する米国では、イノベーションの中心としての役割を果たしています。
また、今後のトレンドとして注目されるのは、AIの位置づけです。IT業界がAI技術の最前線に立っており、業界内特許ポートフォリオの約15%がAI関連の発明で構成されています。特に、Alphabet、Amazon、IBMなどがAI技術のシェイプを形成し、製薬業界でもBiotechがAIを活用した創薬プロセスの効率化を促進しています。
新たに選出された企業や成長を見せる分野も多く、イノベーションの潮流は今後も見逃せません。レクシスネクシスの特許データによる分析は、企業が戦略的に技術革新を判断するための重要な判断材料を提供します。これを機に、企業は自社の競争優位性を高めるための情報を得て、さらなる発展を追求することが期待されています。