岡山大学が新たな人事基本方針を発表
国立大学法人岡山大学は2025年4月、定例記者発表において「国立大学法人岡山大学における人事基本方針」を公表しました。この方針は、地域中核・特色ある研究大学としての地位を強化し、将来的なビジョンである岡山大学ビジョン2050の実現に向けた重要なステップです。
研究ファーストの理念
岡山大学は、これまでの「地方国立大学」「総合大学」という枠を超え、研究を最優先にする姿勢を新たに打ち出しました。政府の地域中核・特色ある研究大学強化促進事業(J-PEAKS)に採択されたこともあり、より責任ある大学運営を行う方針が示されています。このため、教育研究評議会の承認のもとで策定された新方針は、学内外に向けて大きなメッセージとなっています。
心理的安全性の確保
新方針の中心には、ダイバーシティの推進や職員の専門性向上が含まれ、特に、学生や教職員の心理的安全性の確保が重視されています。採用時には性暴力やハラスメントに関する過去の処分歴を厳密に確認するなど、積極的な対応が行われます。これにより、大学全体の安全な環境が整えられることを目指しています。
教員採用基準の明確化
教員の採用に関しても大きな変化があります。全ての分野で博士号を持ち、優れた研究業績を有する候補者から選出される方針が示されました。特に、人文学や社会科学分野においても同様の基準が適用され、研究環境の強化を図ります。また、「15年ルール」と呼ばれる新たな基準が設けられ、准教授や講師の採用や昇任については、原則として博士号取得後15年以内の者が対象となります。これにより、教育研究パフォーマンスの最大化を目指します。
教員配置における柔軟性
教員の配置換えに関しても新しい方針が打ち出されました。各教員の特性を考慮しつつ、大学全体のパフォーマンス向上を図るため、柔軟な配置換えや特定業務に従事する「特定教員」の制度を積極的に導入することが示されています。また、配置換えは個人の同意を得た上で実施し、ライフイベントにも配慮します。これにより、教員のキャリアパスがさらに多様化し、研究環境の充実が期待されます。
教員のキャリア支援
岡山大学では、教員のキャリア支援に力を入れています。複線型人事制度が構築され、他職種への転換が容易になります。さらには、教授や准教授のポストが不足することがないようにポイント制を導入し、厳格な評価基準に基づく昇任制度の整備が進められています。若手研究者育成策やシニア・ミドルトップ研究者支援制度も強化され、総じて教員の質向上が図られています。
組織改革への挑戦
岡山大学は、これらの取り組みを通じて「研究ファーストの研究大学」としてのプライドを持ちながら、組織・制度改革に挑戦しています。那須保友学長は、「他大学と比べても思い切った改革を進めている」と述べ、痛みを伴う改革を経て社会変革を目指していく覚悟を示しました。また、「大学は変わらなければならない」との信念に基づき、決断と実行を重要視し、失敗を恐れず取り組む姿勢を強調しています。
未来へのビジョン
今後も岡山大学は、地域との連携を強化し、「人事基本方針」に基づくさまざまな施策を展開していく予定です。地域中核・特色ある研究大学として、岡山大学が掲げるビジョン2050の実現に向けた挑戦に期待が寄せられています。地域と地球の未来を共創し、持続可能な社会の実現に寄与するために、岡山大学の今後に目を向けましょう。