コートジボワールでの母子健康保健向上プロジェクト
2023年7月23日、African Mothers株式会社、株式会社インターネットイニシアティブ(IIJ)、TOPPANホールディングス株式会社、豊田通商株式会社の4社は、コートジボワール共和国における母子健康保健向上を目的としたデジタルプラットフォームの構築に関する覚書を締結しました。このプロジェクトは、毎年高い妊産婦および新生児死亡率に直面しているコートジボワールにおいて、特に急務とされる母子保健の改善に向けた取り組みを含んでいます。
背景と課題
コートジボワールは西アフリカの経済大国として知られていますが、妊産婦や新生児の死亡率が高いという深刻な課題を抱えています。主な原因には、妊娠や出産に関する知識が十分に浸透していないこと、また医療機関での情報管理が不十分であることが挙げられます。特に、助産師が過去の診療データに基づく情報を活用することが難しいため、体系的なデータ管理が求められています。これらの問題を解決するための手段として、デジタル技術の導入が鍵となると考えられています。
デジタル母子手帳アプリケーションの開発
この協業により、4社はデジタル母子手帳の開発及び導入を進めることになりました。このアプリは、妊婦の健康診断記録を助産師がスマートフォンから簡単に入力し、他の医療関係者と情報を共有できる機能を持ちます。また、妊婦自身も自身の健康情報をいつでも確認できるようになります。これにより、妊産婦は自分の健康状態を把握しやすくなり、医療サービスの質が向上することが期待されています。
加えて、ワクチン接種履歴などの医療データも集約・管理するシステムが併せて開発され、医療現場におけるデータの利活用が進む見込みです。さらに、このシステムの安定運用を支えるために、現地にマイクロデータセンターを設置し、持続可能な医療インフラを構築する計画もあります。
各社の役割
各社はそれぞれ異なる専門性を活かしてプロジェクトに貢献します。African Mothersはモバイルアプリケーションの設計、開発、運用を担当し、IIJはマイクロデータセンターの提供と技術的サポートを行います。TOPPANは医療データを蓄積するシステムの設計と開発に注力し、豊田通商は全体を見通すプロジェクトの企画と政府との折衝を担います。
今後の展望
今後、4社はデジタル母子手帳を中心に保健指導の仕組みを整え、関連アプリやシステムの開発を進めていきます。最終的にはコートジボワール政府や関連機関と連携して、都市部でのデモ版導入とその有効性の実証を行う計画です。また、中期的には対象地域の拡大を目指し、集約した医療データを利用して他のヘルスケア事業との連携を図り、持続可能な母子健康保健サービスの提供を実現していく所存です。
この取り組みは、コートジボワールの母子健康を改善するだけでなく、地域全体の健康意識を高め、医療インフラを充実させるための重要なステップです。