AI契約レビューの未来:ACORTAが内閣府WGで弁護士法72条問題に言及
AI契約レビューの未来:ACORTAが内閣府WGで弁護士法72条問題に火をつける
2024年11月11日、内閣府規制改革推進会議のスタートアップ・イノベーションワーキンググループにおいて、AIによる契約レビューシステムと弁護士法72条の関係性が議論されました。この会議で、一般社団法人AI・契約レビューテクノロジー協会(ACORTA)が重要な発表を行い、大きな注目を集めています。
ACORTAは、AIを活用した契約レビュー技術の普及促進を目的として設立された団体です。代表理事を務めるのは、桃尾・松尾・難波法律事務所の松尾剛行弁護士。他にも、著名な弁護士や企業関係者が理事として名を連ねています。
今回のWGでは、ACORTAが「契約自動レビューシステムと弁護士法72条」に関する発表を行いました。特に、AIを活用した契約審査サービスが弁護士法72条の「鑑定」に該当するかどうかという点が、議論の中心となりました。これは、法務省がAI契約審査サービスに関する見解を公表したことを受け、業界内で大きな関心が集まっている問題です。
ACORTAは、AIによる契約レビューシステムの技術的な特徴や、弁護士法72条との関係性について詳細な説明を行いました。また、同協会が会員企業のために整備している、AIシステムの適法利用のための環境整備についても言及。AIシステムの適切な活用と、法規制とのバランスを保つための取り組みを強調しました。
会議では、活発な議論が交わされ、座長代理の御手洗氏は、法務業務の進展が地方の中小企業にも恩恵をもたらすこと、そしてAIシステムの安心・安全な利用環境を整備することの重要性を指摘。法務省に対して、弁護士法の適用範囲の明確化に向けた検討を要請しました。
ACORTAは、今後も法務省や日本弁護士連合会などの関係機関と連携し、AI契約レビュー技術の適法利用のための環境整備に尽力していくとしています。AI技術の進歩と、法規制の整備が、日本の法務業界の未来をどのように変えていくのか、注目が集まります。
ACORTAとは?
ACORTAは、AIを活用した契約レビュー技術の普及を推進する一般社団法人です。設立は2022年9月5日で、東京都江東区に事務所を構えています。
ACORTAの活動目的は、AI技術を活用することで、法務業務の効率化、コスト削減、そして司法アクセスの向上を実現することです。そのため、技術開発、法制度への対応、そして業界全体の啓蒙活動に力を入れています。
ACORTAの理事には、法律事務所のパートナー弁護士、企業の代表取締役、そして元検事総長など、法律やIT業界の第一線で活躍する人材が集まっています。この多様な人材が、ACORTAの活動の幅を広げ、多角的な視点からの議論を可能にしています。
弁護士法72条問題とは?
弁護士法72条は、「弁護士以外の者」が、報酬を得て法律事務を行うことを禁じた条文です。AIによる契約レビューシステムが、この弁護士法72条に抵触するかどうかが、大きな論点となっています。
AIは、契約書の内容を自動的に分析し、リスクを指摘する機能を持っています。しかし、この機能が、法律事務の一部を代替していると考えられる場合、弁護士法72条に抵触する可能性がある、という意見があります。
ACORTAは、この問題について、技術的な観点から説明し、AIシステムの適法な活用方法を提案しています。AIはあくまでも弁護士を支援するツールであり、弁護士の判断を代替するものではない、という点を強調することで、法規制との整合性を図ろうとしています。
日本の法務業界への影響
AIによる契約レビューシステムは、日本の法務業界に大きな変化をもたらす可能性を持っています。業務の効率化、コスト削減、そして人手不足の解消に貢献することが期待されます。
しかし、同時に、弁護士の業務範囲や役割、そして法規制との関係性についても、再考が必要となるでしょう。ACORTAのような業界団体が、技術開発と法規制のバランスを保ちながら、AI技術の普及を推進していくことが重要です。
このWGでの議論は、日本の法務業界の未来を形作る上で重要な一歩となるでしょう。今後、ACORTAの取り組みや、政府・業界の動向に注目していく必要があります。
会社情報
- 会社名
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一般社団法人AI・契約レビューテクノロジー協会
- 住所
- 東京都渋谷区桜丘町1-1渋谷サクラステージSHIBUYAタワー19F
- 電話番号
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