2025年度国際交流基金賞の受賞者が発表
国際交流基金(JF)が実施する「国際交流基金賞」の2025年度の受賞者が発表されました。この賞は、1973年の設立以来、さまざまな文化活動を通じて日本と海外の相互理解を促進することに顕著な貢献をしてきた個人または団体に授与されており、今年度は106件の推薦の中から、特に優れた業績を挙げた2名が選ばれました。
受賞者の紹介
マーティ・グロス(Marty Gross)氏
カナダ出身の映画監督であるマーティ・グロス氏は、長年にわたり日本の伝統芸能や民藝運動を世界に紹介してきた実績があります。特に、彼が監督した映像作品『文楽 冥途の飛脚』(1980)は、文楽を海外に広める大きな役割を果たしました。この作品は、文楽の魅力を余すことなく伝える巧みな構成や、多角的なカメラワークが評価されています。
また、グロス氏は、自身のプロダクションで「民藝運動フィルムアーカイブ」というプロジェクトに取り組んでおり、1930年代から70年代に撮影された民藝運動の記録映像を発掘・修復して公開しています。これにより、民藝運動の持つ美の価値が再評価され、その重要性が広く知られることとなっています。
鄭起永(ジョン・ギヨン/JUNG Giyoung)氏
韓国の釜山外国語大学校の教授である鄭起永氏は、日本語教育において30年以上の実績を持つリーダーです。彼は、日本語融合学部を創設し、韓国で最大の日本語教育拠点を築くなど、多くの学生に日本語を学ばせています。また、ICTを活用した教育方法や、交流活動を通じて国際理解を深めるための取り組みも行っています。
具体的には、対馬での漂着ごみ清掃活動や、韓国人学生の日本企業への就職支援など、言語教育を超えた広範な貢献を行っています。こうした活動により、日韓の文化交流が深まりつつあり、彼の業績は国際交流基金賞にふさわしいものと評価されています。
授賞式の日程
授賞式は、10月22日に開催される予定です。受賞者の業績は、今後の国際交流の架け橋となり、さらなる文化交流の推進が期待されます。
このように、2025年度の国際交流基金賞受賞者、マーティ・グロス氏と鄭起永氏は、それぞれ異なる分野で日本と海外の文化をつなぐ重要な役割を果たしています。彼らの活動が国際的な相互理解を促進し、今後も多大な影響を与えることを期待しています。