地中海の「死のルート」で活動する助産師、小島毬奈氏が全国を巡回
出版業界で注目のニュースとして、株式会社ほんの木が2024年10月から小学校・中学校での出前授業を開始することを発表しました。この授業の講師には、地中海で移民や難民の救助活動を行うただ一人の日本人助産師、小島毬奈さんが招かれます。毬奈さんは彼女自身のリアルな体験を通じて、世界が直面する現実を学生に伝えることを目指しています。
地中海での出会い。
毬奈さんの活動は、テレビ番組『情熱大陸』で大きな反響を呼びました。彼女は2016年以降、リビア沖の「死のルート」で移民・難民救助船に乗り、8年間で11回にわたり現場で活動をしました。その労苦は、母船までのシャトルなど、ライフジャケットを配りながら3時間にわたる緊迫した救助活動に及びます。この中で、時には妊婦や新生児のケアも行い、まさに命の重さを実感する場面が続いています。
「それでも救助しに行くなと言いますか?」という彼女の問いかけは、多くの感情を呼び込んでいます。今にも沈みそうな状況で助けを求める人々の姿は、単なる数字やニュースでは伝わらない命の重みを感じさせます。
小学校・中学校での出前授業に期待
この新しい試みは、毬奈さんの活動をより身近に感じる貴重な機会です。出前授業では、地中海での体験や国際的な現状についての知見を学生たちに伝え、彼らが世界を見る目を育てるきっかけを提供します。彼女は、「日本にいるだけでは決して知り得なかった世界の現実」を伝えたいと語ります。
新刊『船上の助産師』の出版
授業に先立ち、2023年9月30日に新刊『船上の助産師』が出版されました。この書籍では、彼女がどのような思いで救助活動を行っているのか、また助産師としての役割をどのように難民救助に活かしているのかが詳述されています。今後、出前授業の中でも新刊の内容が取り上げられることでしょう。
クラウドファンディングの活用
さらに、毬奈さんはSOSメディテラネというフランスのNGOの一員として、船上の活動資金を調達するためのクラウドファンディングを実施しています。これまでの活動資金はすべて、この基金を通じて集めています。
多くの命を救うために
現在も1年間で2,000人以上がこの地中海ルートで行方不明または死亡しています。彼女の活動は、現場の状況を伝えるだけでなく、救助活動そのものの重要性を訴えています。救助船は人道的な理由として必要不可欠であり、その活動が年々厳しくなっているなか、毬奈さんは「救助を求める人たちを無視しない」という信念のもと、日々奮闘しています。
この「出前授業」を通じて、学生たちが国際問題に対してどのように向き合うか、未来を担う彼ら自身の意思を育てることが期待されています。ぜひ、あなたの周りの学校に参加を呼びかけてこの貴重な機会を活かしていただきたいと思います。