人事と経営戦略の連携強化が求められる中途採用の現状分析
株式会社TalentXが実施した中途採用に関する実態調査において、経営戦略と採用活動の連携が不足している現状が浮き彫りとなりました。この調査では、約219名の人事担当者が対象とされ、採用活動が経営に与える影響やデータ活用の実態が明らかにされました。今後、経営目的に沿った採用計画の重要性がさらに高まる中、現段階では多くの企業が十分な準備を整えていないことが浮かび上がりました。
経営陣の危機感の高まり
調査結果によると、経営陣の約8割が自社の採用活動に対して危機感を抱いていることが分かりました。「大幅に高まっている」と回答した割合は42.9%、「やや高まっている」との回答も33.8%に達し、このことは「採用」が経営において重要なアジェンダであることを示しています。単なる数値目標の達成だけでなく、組織全体の戦略に貢献する人材確保の必要性が認識されているのです。
経営戦略との連動不足
しかし、一方で約6割の企業が「経営戦略から逆算した採用計画」が不十分であるとの調査結果があります。具体的には、採用計画を経営に基づき常に逆算して立案している企業はわずか34.7%であり、残りの60.2%は「一部逆算」「人事独自で算出」「逆算していない」と答えています。このことは、経営と人事の連携が十分にできていないことを示しており、今後の改善が求められるポイントになります。
データの活用状況
採用活動において重要なKPIの確認も必要です。65.3%が「採用人数」、53.4%が「内定数」といった成果指標に依存しており、活動改善に役立つ中間指標のデータを活用している企業は半数にも及びません。さらに、入社後の定着や評価数値を利用して採用要件を定期的に改善している企業は5割以下に留まり、実際の採用と活躍、定着の検証が整っていないことが明らかになりました。
テクノロジーへの期待
調査では、約9割の採用担当者がAIやテクノロジーを活用したデータ収集・分析ツールの重要性を感じていることも分かりました。「強く感じる」との回答が39.3%、やや感じるが46.6%であり、経営と一体となった採用活動への変革には、テクノロジーの活用が肝要です。これらのデータを活用した新たな採用マーケティングへの転換が求められていると言えるでしょう。
欧米の先進的な採用マーケティング
欧米では既に2013年頃から「採用はマーケティング活動である」という考え方が普及し、データドリブンでの採用活動が進められています。専任の「採用マーケター」が各企業に配置され、候補者への情報提供やリレーション形成を担っています。国内においても、テクノロジーを駆使し、経営と連携した「採用マーケティング」の導入が進むことが期待されています。
採用DXプラットフォームの革新
TalentXが提案する「Myシリーズ」は、AIやテクノロジーを駆使して、企業の採用活動をマーケティングへと変革するプラットフォームです。リファラル採用や候補者データの管理・活用など多彩な機能を提供し、企業の採用マーケティングを支援しています。特に2025年9月時点で、日本の時価総額上位50社の40%以上が導入していることからも、その効果や普及のスピードが伺えます。
結論
この調査結果からは、経営戦略と採用活動の連携を強化し、データを活用した経営支援に向けた取り組みが求められています。今後の採用活動には、テクノロジーの導入が不可欠であり、経営全体を巻き込む形での採用マーケティングへのシフトが急務であると考えられます。経営と人事の一体感を深めることで、より効果的な採用戦略が実現されることを期待します。