神奈川県立こども医療センターにて採用された乳児用オーダーメイドヘルメット「Qurum Fit」
神奈川県立こども医療センター(神奈川県横浜市)において、株式会社ジャパン・メディカル・カンパニーが開発した乳児用オーダーメイドヘルメット「Qurum Fit(クルムフィット)」が、病的頭蓋変形の術後治療に正式に導入されました。この新たな取り組みは、頭蓋縫合早期癒合症による手術後の頭部保護と形状誘導の両立を目指しています。
この「Qurum Fit」は、3Dスキャン技術と3Dプリントを駆使した完全オーダーメイドのヘルメットで、患児の頭の状態に応じて高精度な調整が可能です。術後の頭蓋形状を健全に導くためには、既製品ではなく、個別に対応したヘルメットが必要です。すでに同センターでは第1例目の治療が始まり、2例目の導入も決定されています。このような動きは、今後の治療の展開に大いに期待を寄せられています。
術後管理に対するアプローチは、患者にとって重要です。創部の保護だけでなく、適切な頭蓋形状の誘導を行うことが求められます。ジャパン・メディカル・カンパニーでは、医師の診断に基づき、患者およびそのご家族の安心のための高水準のサポート体制を整えています。最近では、赤ちゃんの頭の形についての関心も高まり、SNSやメディアでの議論が活発に行われています。
その一方で、正確な診断なくして安易なヘルメット治療が行われるケースや、病的な頭蓋変形が診断されないリスクも存在しています。このような問題を解決するため、2024年には一般社団法人日本ヘルメット治療評価認定機構が設立されました。この機構の目標は、医学的根拠に基づいた診断および治療の標準化、誤診や過剰治療の防止です。認定された医療機関では、適切なノウハウによる診療が行われるため、保護者も安心して治療を選ぶことができます。ジャパン・メディカル・カンパニーもこの理念に賛同し、臨床連携や研修会を通じて医療現場の信頼性の向上に取り組んでいます。
医療機関の役割と医師の貢献
神奈川県立こども医療センターは、小児専門の医療機関として、1970年の開設以来、多くの小児患者を受け入れ、高度な医療を提供しています。このセンターで治療を行う脳神経外科医の広川大輔先生と林朋子先生は、外科手術から術後にかけて一貫した診療を行っており、個別の患者に合わせたヘルメットの設計や調整も担当されています。
広川医師は、術後の頭蓋形状保持におけるヘルメット治療の重要性を強調しています。「ヘルメット療法は、頭蓋の正しい形状を保持するのに役立ちます。症例ごとに最適な治療を提供することが我々の使命です。」と述べています。また、林医師も個々の症例に応じた治療計画の重要性を強調し、患者のニーズに真摯に向き合っています。
今後の展望
ジャパン・メディカル・カンパニーは、神奈川県立こども医療センターとの連携をはじめ、全国の小児医療機関における頭蓋変形治療の質を向上させるため、技術と体制の強化に努めています。赤ちゃんとその家族が安心して適切な治療を受けられる環境を整え、より良い医療の実現を目指してまいります。今後もこの取り組みを全国展開し、病的頭蓋変形に関する治療の認知をさらに広げていく所存です。