はじめに
近年、企業における業務の効率化が求められる中、AI技術がその実現に大いに寄与しています。特に、Microsoft 365 Copilotという生成AIはその使いやすさと即効性から、多くの企業に導入が進んでいます。しかし、実際には利活用が進まない企業も存在します。今回は、大手建設企業におけるCopilotの効果を詳しく見ていきます。
Microsoft 365 Copilotの特徴
Microsoft 365 Copilotは、Word、Excel、Outlook、Teamsなどのアプリケーションに組み込まれている生成AIです。特に注目すべき点は、新しいシステムを導入することなく、既存の環境を活用できるところです。これにより、導入に伴う手間やコストを削減できます。しかし、全社にライセンスが配布されながらも、実際の利用が進まないという課題があります。
事例: 大手建設企業の実績
Irwin&co株式会社は、東京都渋谷区に本社を構える企業であり、大手建設企業の総務部門での業務効率化を実施しました。本支援の流れは以下の通りです。
ステップ1: 業務棚卸し
まず、総務部門の全122業務を洗い出しました。ここでの重要なポイントは、全業務を把握することで、最もインパクトのある業務を特定する基盤を整えたことです。
ステップ2: 業務の選定
次に、洗い出した業務の中から、特に業務頻度や時間的負担が大きい23業務を選定しました。この段階で、対象業務に対する関心が高まり、効果的な支援のための足場が作られました。
ステップ3: 業務手順の詳細ヒアリング
選定された23業務について、どのような手順で実施されているのかを詳細にヒアリングしました。ここで、業務がどのように実行されているのかを工数単位で明確にし、不要な手間がどこに存在するかを特定しました。
ステップ4: AI活用工程の実演
最後に、AIが活用できる具体的な工程を実演形式で示しました。このプロセスでは、実際にCopilotを操作しつつ、どのように業務が変わるのかを参加者に体感してもらいました。これにより、AIに頼ることでどれほどの時間と手間が削減できるのかを理解してもらうことができました。
削減効果
この取り組みの結果、総務部門において年間373時間の時間削減を実現しました。特に、捺印請求のチェック業務では、年間600時間のうち155〜220時間の削減(25.8〜36.7%)が認められました。具体的には、AIがPDFを読み取り必要な情報を自動判定する方式に変更したことで、業務の効率が大幅に向上したのです。
支援の特徴
Irwin&coが提供した支援は、単なる資料の納品に留まらず、メンバーが常駐して実施されました。このモデルにより、業務の現状を肌で感じ、実際のデータを用いてリアルタイムで意見を交換することが可能になったのです。
結論
AI技術を導入した企業でも、その実効性を引き出すためには具体的な取り組みが必要です。今回の大手建設企業の事例は、業務を細分化し、AIの特性に合わせた効率化を推進することで、実際の労働時間の削減を実現したことを証明しています。これからも、業務改善の取り組みは重要な課題となるでしょう。
参考文献
- - Irwin&co株式会社
- - Microsoft 365 Copilot