IT業界の過重下請け構造に関する意識調査結果が示す課題

IT業界の過重下請け構造に関する調査結果

ITエンジニアの働き方が変化する中、株式会社PE-BANKが実施した意識調査の結果が注目されています。この調査は、全国の企業担当者とITフリーランスエンジニアを対象に、受発注元が3社以上に跨る「過重下請け構造」についての実態を探りました。調査は2025年11月22日から24日までの期間に行われました。

調査の背景

2026年1月に施行される新たな下請法を前に、IT業界を含む多くの産業で問題となっている過重下請けの現状を明らかにすることが目的です。調査の結果、約90%の企業担当者、約50%のフリーランスエンジニアが過重下請け構造を経験していることが分かりました。

調査結果の概要

調査からは、企業側の不信感とフリーランスの懸念が浮き彫りになっています。企業担当者の中で、発注金額に対して約82%が不信感を持っていると回答し、フリーランス側でも98.2%が過度なマージンを取られていると感じています。このような不安の中で、適正価格や報酬の透明性が求められています。

企業担当者の視点

調査の結果によれば、企業担当者の約4人に1人が発注先の体制に何社関わっているかを把握していないことが明らかになりました。その一方で、過重下請け構造に対する不安が高く、特に「品質担保への不安」が最も高い順位に位置しています。また、発注金額が不透明であればあるほど、信頼関係の構築が難しいことが伺えます。

フリーランスエンジニアの視点

一方で、ITフリーランスエンジニアの調査結果も興味深いものでした。52.5%がプラットフォーム側から体制情報を明示されていないと回答しています。約87%が過重下請け構造の案件を受けたくないとし、不安要素として「単価が低くなりやすい」「納期が厳しくなる」「業務のコントロールが難しい」といった理由が挙げられています。

透明性の重要性

この調査から見えてきたことは、互いに信頼関係を築くためには透明性が不可欠であるということです。企業は見積もりが正確で透明であれば長期的に取引を希望すると回答した割合が73%に上りました。また、フリーランスの約60%がマージンを開示している企業からの依頼であれば、難易度が高くても受けたいと想っています。