島根県におけるこどもの貧困対策の現状と課題
近年、こどもの貧困問題は日本全体で深刻な状況となっており、特に一人親家庭の生活が厳しくなる中、その対応が求められています。2013年には「子どもの貧困対策の推進に関する法律」が成立し、2024年には法律が改正され、名称も「こどもの貧困の解消に向けた対策の推進に関する法律」(以下、解消法)に変わりました。この改正により、法律の趣旨は単なる貧困「対策」から貧困「解消」へとシフトしました。
この法律は各自治体に対しても責任を重くし、地域の実情に応じた施策を講じることを求めています。昨今、我々が目を向けるべきは、島根県における実際の施策やその実施状況です。島根県内の20自治体を対象に行った最新の調査では、その実態が明らかになりました。
調査の概要
島根県内のこどもの貧困対策を評価し具体的な施策の実施状況を把握するために、調査の目的が設定されました。この調査には以下のような特徴があります:
- - 対象:島根県及び全市町村(20自治体)
- - 方法:Googleフォームを用いたアンケート調査
- - 期間:2025年8月22日〜9月12日
- - 自得性:全体の85%の団体が回答し、無回答が出たのは美郷町、津和野町、知夫村の3つの自治体です。
調査の結果
調査から得られた結果を基に、いくつかの重要なポイントを抜粋して紹介します。
1.
自己評価:自治体の責務に対する自己評価では、半分ほどの自治体が「まあ思う」と答えました。しかし、その内容は具体性に欠け、「貧困対策」に特化した取り組みが主であったことが明らかになりました。
2.
具体的施策の実施状況:調査によれば、実際に「解消法」に対応する施策を実施している自治体は松江市一つだけで、その他の自治体には今後「予定」とされる施策も4団体・7項目しかありませんでした。
3.
効果的な対策の必要性:貧困の実態把握が効果的な対策には不可欠とされるが、多くの自治体が指標調査に対して消極的という現実が確認されました。
4.
ひとり親家庭支援:国はひとり親家庭への支援を強化してきましたが、島根県内の自治体では新たな施策の実施はわずかに限られた自治体にとどまっています。
総括と展望
今回の調査結果から、島根県内でのこどもの貧困対策は期待されたほど進展していないことが浮き彫りになりました。法律に明記された自治体の責任を十分に果たせていない現状が示されています。貧困「解消」に向けて自治体が本格的に取り組むことが求められます。法律に則り、子供たちの未来を保障するために、積極的な政策の実施が急務です。
終わりに
我々は、引き続き「コミュニティ・フリッジ」事業を通じてひとり親家庭に生活支援を提供し続けますが、それだけでは問題の根本的解決には至りません。自治体や国の行動が必要で、多くの方々にもこの問題を「自分事」として捉えていただきたいと思います。このような活動が社会の理解と支援を得るきっかけとなりますように。ですので、ぜひとも当法人へのご支援をお願い申し上げます。