花王の新研究が敏感肌のメカニズムを解明
花王株式会社は、皮膚バリア機能が低下し、刺激感受性が高い敏感肌に関する新たな知見を発表しました。特に、敏感肌におけるセラミドプロファイルの変化が、皮膚の健康と関連していることを明らかにしました。この研究は帝京科学大学の中沢准教授との共同で行われており、2025年4月に世界的な学術誌『Journal of Cosmetic Dermatology』に発表される予定です。
皮膚バリア機能と敏感肌
敏感肌は通常の刺激に過敏に反応し、痛みやかゆみといった不快感を伴います。その主な原因は、皮膚のバリア機能の低下です。花王はこの現象に着目し、皮膚疾患がないのに刺激感受性が高い敏感肌の研究を積極的に行ってきました。その結果、2023年には敏感肌のセラミドに関する重要な発見がありました。特定のセラミドが少なく、そのプロファイルがアトピー性皮膚炎に似ていることが分かりました。
セラミドの重要性
セラミドは角層細胞間で保湿とバリア機能を担う脂質の一種であり、数種類の分子構造を持っています。セラミドプロファイルとは、これらのセラミドのバランスを指しますが、今回の研究では敏感肌において特定のセラミドの量が減少していることが確認されました。また、敏感肌では角層細胞間に存在する脂質のパッキング構造にも変化があったことが示されています。
脂質の密度と刺激感受性
実験の結果、敏感肌の角層細胞間脂質の密度が落ちていることが明らかになりました。このことは、皮膚のセラミド・脂質バランスが乱れていることと関係している可能性があります。特に、セラミドNSとセラミドNPの比率が低下していることが、細胞間脂質の構造に影響を及ぼしていることが示唆されています。これにより、皮膚バリア機能が弱まり、刺激感受性が高くなるという悪循環が起こり得るのです。
今後の展望
この研究の成果は、今後のスキンケア製品の開発に貢献する重要な基盤となります。花王は、敏感肌に向けた有用な製品を設計するための重要な知見を持つことができました。今後も敏感肌に関する理解を深め、より効果的なスキンケアソリューションを提供することを目指しています。
この新たな研究成果は、敏感肌におけるセラミドの役割を再評価し、より良い製品を提供するための一歩となります。敏感肌の方々にとっては、皮膚の健康維持に向けた明るい希望となることでしょう。