退職代行サービスの利用と転職の実情
退職代行サービスは、何らかの理由で自身の退職を上司や同僚に直接伝えることができない社会人にとって、重要な選択肢となっています。この背景には、退職後の不安を軽減するためのさまざまな心情や、職場環境の厳しさが影響していると考えられます。
近年、このサービスへの関心が急増しており、特にSNSで多くの体験談が共有されていることから、実際に利用した人々の声が重要視されています。
調査の概要
ハイクラス型転職サイト「タレントスクエア」を運営するタレントスクエア株式会社が行った調査では、退職代行サービスを利用した人々のその後のキャリアや、年収、残業時間の変化について探りました。2025年3月14日から3月17日の間、1,110人を対象にしたインターネット調査が実施されました。
退職後のキャリアの実態
退職代行サービスを利用した後のキャリアについて質問したところ、73.8%の人が正社員としての転職に成功したと回答しました。次いで派遣社員や契約社員として転職した人も一定数いました。この結果は、退職代行サービスが正社員としての転職に好影響を与えていることを物語っています。
転職のタイミング
調査結果からは、退職代行サービスを利用する多くの人が、事前に転職先を確保していることが明らかになりました。40%以上の人が、転職先を決定してから退職代行を利用したと回答しました。一方、すでに転職活動を行っている状態で退職代行を使う人も多いことが示されました。
年収の変化について
退職代行サービスの利用後、約4割が年収アップを実感している結果が出ました。しかし、実に51.8%が「変わらない」と感じていることも事実です。このため、年収が上がる一方で、さほど変化が見られないケースも多いという現実があります。
残業時間に関する現状
年収の向上が報告される中、一方で残業時間に関しては「変わらない」という回答が54.9%を占めました。これは、転職したにもかかわらず残業時間の改善が実感されない事例が多く存在することを示唆しています。
新しい職場への適応状況
約90%の人が新しい職場にスムーズに馴染んでいると回答しており、退職代行サービスを利用した場合でも問題なく新たな環境に対応できる可能性が高いことが伺えます。
退職代行サービスの満足度
退職代行サービスを利用したことに対する満足度を尋ねたところ、「とても満足した」および「やや満足した」との回答が合わせて約9割に達しました。その理由は、直接会社と関わらずに退職できる精神的な負担の軽減や予想以上のスムーズな退職が主な要因でした。
満足度の低かった理由
一方で満足度が低かった人たちの意見を聞いたところ、最大の理由は「有給休暇を消化できなかった」とのことでした。このように、退職代行サービスを利用することで失われた権利が影響する場合もあり注意が必要です。
結論
退職代行サービスは、多くの人にとって転職を支援する有効な手段として機能している一方で、年収や残業時間といった現実的な側面については理想とする成果が得られない場合もあることが浮き彫りになりました。利用にあたっては、これらの点も考慮に入れた上で判断することが重要です。