はじめに
9月1日は「防災の日」です。この日は関東大震災の発生日であり、また台風シーズンに入り自然災害への備えを呼びかける日でもあります。防災訓練や物資の備蓄を進める医療機関において、医療従事者自身も災害の影響を受ける可能性があるため、確かな備えが求められます。株式会社エムステージが実施した調査では、医師638名を対象に自然災害時の防災意識について掘り下げられました。
調査の背景
今回の調査は、9月1日の防災の日にあたり、医療従事者の防災意識や対策を探ることを目的としています。特に地震や水害に際しての対策が重要です。新型コロナウイルス感染症の影響があった近年、医療従事者たちは急な出勤要請や、家族の安全に関しての板挟みの悩みを抱えていることが明らかになりました。
調査結果の要点
医療従事者の防災意識
1.
初期対応マニュアルの重要性
半数以上の医師が、災害時の備えとして初期対応マニュアルの把握が最も重要と考えています。この点を重視する背景には、迅速な対応が患者の命に関わるという意識があります。その次に重要とされるのは、情報伝達手段の確保や患者のトリアージ、搬送の判断力です。
2.
出勤要請と家族の安全の板挟み
大きなプレッシャーを感じる要因として、「出勤要請と家族・大切な人の安全確保の板挟み」が4割以上の医師に共通して挙げられています。また、医療資源不足時の判断責任も多くの医師が意識している問題となっています。
過去の災害の経験
医療従事者としての経験から、家族の安全と患者の治療とのバランスを取る難しさや、医療インフラへの依存の深刻さが語られました。例えば、地震発生後に急な出勤要請があった際、妊娠中の妻の安全が不安だった、または新生児を抱える家庭と患者の治療の間での葛藤など、具体的な体験が多く寄せられました。
個人の防災意識
約90%の医師が何らかの防災備品を準備していることが分かりましたが、その内容にはばらつきがあります。十分な備蓄を行っている医師は25.5%に過ぎません。個々の医師が持病のある方へのアドバイスとして、常備薬の確保を強調しています。
一般の方への防災アドバイス
医療従事者から一般の方へのアドバイスとして、持病のある方は定期的な薬を余分に用意することが重要とされています。他にも、医療支援マップやハザードマップを手に入れ、家庭内での連絡方法を決めておくことも忘れずに。最低限の応急処置の方法を学ぶことも役立ちます。
おわりに
この調査によって明らかになった医療従事者の防災意識やリアルなプレッシャーは、私たちが災害に備える上で多くの示唆を与えてくれます。これからも、災害に備える意識を持ち続けることが重要です。そして、医療従事者が直面するジレンマを理解し、社会全体で支え合う流れを作っていければと思います。今後も株式会社エムステージは、医療人材の支援や防災に関する情報提供を続けていく予定です。