ベースロードキャピタルが地熱エネルギーに新たな資金を提供
2023年10月、スウェーデンに本社を構えるベースロードキャピタルが、地熱エネルギー産業を拡大するための資金調達を完了したことが発表されました。シリーズBラウンドにおいて、合計で5,300万ユーロ(約84億円)の資金を調達しました。この調達資金の主な出資者は、国際的な投資・開発会社であるENGFで、IKEAを含むイングカ・グループの重要な一員です。
ベースロードキャピタルは、未利用地熱資源の開発に注力しており、現在稼働中の8つのパイロットプラントの商業化に向けて、今回の資金を活用する計画です。地熱エネルギーは、クリーンで持続可能なエネルギー源として、今後の電力供給の鍵を握る存在で、世界で最も大きな未開発エネルギー資源であるとされています。特に、ベースロードキャピタルは200 ギガワット(電力)および5000ギガワット(熱)の未開発エネルギー資源の開発を視野に入れています。
このプロジェクトの背後には、アメリカのエネルギー省の調査結果が大きく影響しています。2050年までには、米国だけで90から300GWのクリーンで安定したエネルギーを地熱から提供できるという見通しが立てられています。一方、地熱産業が年間約800本の井戸を掘削する中、石油・ガス産業は60,000から70,000本を掘削してきました。このため、ベースロードキャピタルはベーカーヒューズ社と提携し、石油・ガス業界の豊富な知識と経験を取り入れつつ、地熱開発を加速させる方針です。
また、Breakthrough Energy Ventures(通称BEV)は、ビル・ゲイツ氏が設立した投資会社で、地熱エネルギーの可能性を高く評価しています。BEVは環境に優しい事業にのみ投資しており、ベースロードキャピタルはその一環として、地熱プロジェクトの拡大を目指しています。特に、ベースロードグループは、アイスランドや米国、日本をはじめ、台湾の新興市場にも積極的に進出しています。台湾では、初の地熱政策の形成に向けた取り組みにも参加しており、市場の発展に寄与しています。
CEOのアレクサンダー・ヘリング氏は、「著名なパートナーが私たちに対して寄せる信頼は、私たちの目標達成への期待の現れであり、地熱産業が準備万端であることを示しています」と語ります。
また、ENGFのオスカー・バックマン氏は、ベースロードキャピタルのプロジェクト開発能力を評価し、地熱エネルギーの可能性を高く認識しています。BEVのカーマイケル・ロバーツ氏も、地熱エネルギーの変革的可能性を強調しました。
ベーカー・ヒューズ社も、地熱エネルギーの役割の重要性を認めており、地熱発電の拡大に向けた支援を行う意向を示しています。
本プロジェクトのアドバイザーとして、Vinge社とDNB Markets社が関与していることも注目に値します。これからの地熱エネルギーの展望に期待が高まる中、ベースロードキャピタルはグローバルなパートナーシップを通じて、より持続可能な未来を切り拓く役割を果たすべく邁進しています。