植栽の力を利用したポイ捨て抑制
1. はじめに
環境問題が深刻化する中、私たちの行動変更が求められています。ごみのポイ捨ては、その典型例のひとつです。この問題を解決するために、株式会社ピリカが環境省主催の「ごみのポイ捨て・発生抑制対策等モデル事業成果報告会」において、革新的なアプローチを発表しました。2025年1月21日に行われたこの報告会では、東京都における実証実験の成果を詳細に報告しました。
2. 実証実験の概要
この実験は、2024年6月から9月の4ヶ月間にわたって、東京都内の新宿区歌舞伎町、豊島区東池袋、品川区天王洲エリアの3地域を対象に行われました。ピリカは、植物の種類や植え方、プランターの高さなど、10種類以上の植栽パターンを検証し、ポイ捨て行動の変化を調査しました。
ポイ捨て抑制に関するデータは、植栽設置前後のごみの状況を、スマートフォンを使った画像解析「タカノメ」や監視カメラを活用して収集しました。また、地域の管理者とのヒアリングも実施し、さらに精度の高い結果を導き出しました。これらの結果は、環境問題に対する理解を深め、行動を変革するきっかけとなります。
3. 実験結果
実験結果は、次のように要約されます。
- - 植栽近傍1mのポイ捨てが、平均48%抑制されました。
- - 植栽の種類による効果では、草メインの植栽が平均38%に対し、花メインの植栽が59%という結果が得られ、花の方がポイ捨てを抑える効果が高いことが明らかになりました。
- - 植栽の植え方については、疎植(平均46%)よりも覆土(平均60%)がポイ捨て抑制において有効であることが示されました。
これらの結果は、最適な植栽方法を探求し、都市環境の改善に向けた指針となります。
4. 今後の展望
ピリカはこれらの結果をもとに、まちづくりに関わる事業者や生花店との連携を図り、ポイ捨て抑制効果の高い植栽の提供を通じて、街の美化活動の活性化に取り組む予定です。
5. 株式会社ピリカについて
ピリカは、環境問題の解決を目指して2011年に設立された企業で、特にごみの自然環境への流出問題に取り組んでいます。ごみ拾いを促すSNS「ピリカ」を提供し、多くの国から累計3.7億個のごみが拾われています。さらに、様々な環境データの開放や流出ごみ対策のコンサルティングも行っています。実績としては、2021年度に環境スタートアップ大賞の「環境大臣賞」を受賞しております。
6. まとめ
環境問題の解決には、科学技術を活用し、具体的な行動につながる施策が不可欠です。ピリカの実証実験は、その一端を担っており、今後の展開に期待が寄せられています。美しい街づくりのために、多くの人々が協力し、実践することが重要です。