育休取得促進の新時代
2022-09-27 00:00:02

産後パパ育休制度の導入と男性育休取得促進の新たな展望

2022年10月から施行される「産後パパ育休」制度は、男性が育児に関与する機会を大きく拡げるものとして注目されています。この制度は、子の出生後8週以内に4週間の育児休暇を取得できる新たな仕組みで、特に母親の産後休業期間に支援することを目的としています。厚生労働省が運営するイクメンプロジェクトは、この制度の浸透を図るため、2022年9月1日にオンラインで「男性の育児休業取得促進シンポジウム」を開催しました。このシンポジウムは、政府が掲げる「2025年までに男性の育児休業取得率を30%以上にする」という目標への第一歩とも言えます。

シンポジウムでは、育児・介護休業法の改正に関する解説に加え、先駆的な企業の事例紹介やパネルディスカッションが行われました。参加者からは法改正への期待と同時に、実際に育児休暇を取得する際の具体的なアプローチや職場環境に関する意見が寄せられました。「人事担当として法改正に対応を考察していたが、広い視野で育休について考えることができた」との声もあり、耳を傾ける価値がある内容でした。

育児・介護休業法の改正は段階的に施行されており、育児休業の取得方法も柔軟になっています。2023年4月以降は、従業員が1,000人を超える企業は年1回、男性の育児休業取得率を公表する必要があり、これにより社会的な機運が高まることが期待されています。シンポジウムでは、例えば、株式会社ワーク・ライフバランス代表取締役社長の小室淑恵氏が、男性の育児休業取得には管理職や同僚からの理解が不可欠であると強調しました。特に、産後うつ病のリスクが高まる時期において、夫の育児休業取得が重要であると述べました。

また、男性の育児休業取得を推進するためには、職場の環境整備が必須です。実際、北海道・札幌にて活躍するビジティア代表の藤村侯仁氏は、育児よりも家事の戦力として求められることが多いと現実を語る一方、育児休業の価値を再評価することが必要であると強調しました。更に、NPO法人ファザーリング・ジャパンの徳倉康之氏は、企業版両親学級の必要性を訴え、育休制度があるだけでは不十分で、企業文化としての理解が不可欠であると語りました。

育児休業中の収入の減少に関する懸念についても、株式会社サカタ製作所の坂田匠氏は、自社で男性育休取得を100%達成した成功事例を紹介。育休取得が経済的に負担でないことを示すために、育休中の収入シミュレーションを提示していると言います。これにより、育休取得がもたらす価値を多くの人々が理解する一助となっています。

さらに、社員の育休取得は組織運営における優位性やコスト削減にも寄与することが示されています。坂田氏は、業務の属人化を解消することで、誰が休んでも仕事が回る体制を構築。これにより、企業活動が止まらないようにしています。シンポジウムではこのような積極的な取り組みが多くの参加者に響きました。

こうした流れを踏まえ、男性の育児休業取得が進むことで、より均等な育児の負担分配が実現し、特に女性の労働環境の改善にもつながります。法改正を果たすだけではなく、育児と職業生活を両立できる企業文化の構築が求められます。今後も、「イクメンプロジェクト」などの取り組みを通じて、多くの男性が育児に積極的に関与できる社会の構築を目指していく必要があります。

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会社名
厚生労働省イクメンプロジェクト
住所
東京都千代田区霞が関1-2-2
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