山口市での生成AI活用実証実験
山口市と株式会社コアは、災害時における電話対応の効率化を図るため、生成AIを用いた電話受付支援システムの実証実験を行いました。この実験は、災害時の一次対応の迅速化および質の向上を目指しています。
背景と課題
災害が発生した際、自治体の災害対策本部には多くの住民から電話が寄せられます。このため、対応にはかなりのリソースが求められることになります。しかし、職員の異動が頻繁な自治体では、新任者や応援職員が初動対応を行う場合も多く、電話対応の質がばらつくことが懸念されていました。そのため、情報の正確性や迅速な共有、職員の心理的負担の軽減が大きな課題となっていました。
実証実験の概要
実証実験は、2026年2月の3日間、山口県の防災危機管理課で行われました。実験では以下の点について検証しました。
1. 生成AIの音声認識・文字起こしの精度
2. 災害情報報告書の自動作成
3. 入力漏れの指摘やアドバイス
4. 外国語での文字起こしおよび報告書の自動作成
この実験では、生成AIが職員の業務を補完し、特に経験が浅い職員でも迅速かつ適切に情報を収集できる体制を確立することを目指しました。
実証実験で得られた成果
実証実験からは以下の成果が確認されました。
1. 音声認識の精度
アンケートの結果、生成AIによる文字起こしの正確性は平均3.9という評価を得ました。方言やオノマトペも含め、業務に支障をきたさない精度が確認されたのです。
2. 報告書の自動作成
通話内容から、即座に氏名・連絡先・住所が入力されるなど、報告書作成の時間が約70%削減される可能性があると評価されました。
3. 入力漏れの指摘機能
業務支援の効果については平均3.8の評価が得られましたが、運用面での改善点も指摘されています。
4. 多言語対応
中国語、フランス語、韓国語、スペイン語に対応した文字起こしと報告書の自動生成が可能であることも確認され、多言語での対応に利点が評価されました。
総評
実証実験には、災害時に対応するリーダーを含む多くの職員が参加しました。アンケートでは85%の職員が最高評価をつけ、実運用への期待が高まっています。
山口市の防災危機管理課の大田様は、実証実験を通じて災害対応業務の新たな可能性が見え、特に職員の経験差を補完する技術の必要性を強調しました。多言語対応の実用性も高く、観光客や外国人住民への対応力が向上する点も指摘されています。
今後の展望
この実験の結果を踏まえ、生成AIの機能をさらに強化し、災害時の迅速な意思決定をサポートする方向性を目指すとのことです。地図連携や使いやすさの向上など、将来的な実運用に向けた機能強化が期待されています。
会社概要
株式会社コアは、ICTの力を使って社会や産業の課題解決に取り組んでいます。技術力を生かし、ビジネスモデルの進化を後押しすることに注力しています。