医師が選ぶ病院、その基準とクチコミの影響
医療の現場で大切な役割を果たす医師が、どのように病院を選んでいるのか。株式会社メディウェルによる最近の調査結果が、その実態を明らかにしています。この調査では、全国の医師1,662名を対象に、勤務先や受診先としての病院選びにおける基準を探りました。
クチコミが選定基準に与える影響
調査によると、医師の3分の2以上が病院選びに「クチコミ」を参考にしていると回答しました。この結果は、特に勤務先よりも受診先を選ぶ際に強く現れています。実際、受診先選びではサンプル数331名中、約7割が知人や同僚医師からの口コミを参考にしています。
インターネット上でのクチコミ情報よりも、身近な知人や医師の意見が信頼されており、医師たちは「実際に自分の目で確認することが重要」と感じているようです。アンケートにあった自由回答にも、クチコミの信頼性や重要性を指摘する声が多く寄せられています。
医師が重要視する病院の特徴
医師たちが勤務先として魅力的だと感じる病院の条件として挙げられたのは、以下の通りです。
1.
ワークライフバランス (96.4%)
2.
給与・福利厚生 (94.8%)
3.
医師やスタッフの体制 (90.0%)
4.
立地・アクセス (89.3%)
5.
経営の安定性 (81.2%)
特に、若手医師は給与や福利厚生を重視する傾向があり、女性医師は立地を気にするようです。また、病院の研究環境や大学との関わりは重視されていないということも注目されています。
一方、医師たちが患者として病院を選ぶ際の基準は、大きく異なることが明らかになりました。受診先としての重視が高いのは、主に以下のポイントです。
1.
在籍医師の専門性・能力・実績 (92.2%)
2.
立地・アクセス (89.9%)
3.
医師の人柄 (88.4%)
4.
機器や設備 (84.4%)
5.
診療時間 (83.8%)
特に、医師たちの技術や経験は患者にとって非常に重要であり、それに加えてアクセスの良さも求められています。医師たちは、個人の生活やキャリアを重視する傾向が強く、臨床能力や利便性を優先する様子が見受けられます。
クチコミ情報への信頼性と難しさ
調査に参加した医師からは、クチコミに対するさまざまな意見が寄せられました。「実際に訪れてみないと分からない」といった実感や、「ホームページが重要な情報源なので、ウェブサイトがない病院は避けたい」との声もありました。医師たちは、クチコミやインターネットの情報はあくまで参考の一部として捉えているようです。
例えば、Googleの評価に対しては「一部の人の意見が多く、全体を参考にするには注意が必要」といった意見も見られました。
医師たち自身が患者として病院を選ぶ時に感じる難しさも調査に表れています。「非医療者が判断するのは難しい」という声も多く、医師だからこそ感じる情報過多の中の真実を見つける苦労が反映されています。
まとめ
今回の調査から、医師たちが病院選びにおいてクチコミを重視する傾向や、その基準が立場によって異なることが明確になりました。特に、医師同士の信頼構築が病院選びにおける重要な要素であることが浮かび上がり、一方で、ネット上の情報に対する慎重な姿勢も垣間見えました。このような情報は、病院経営や医療サービスの質向上のために、今後の医療現場においてますます重要視されるでしょう。