第36回 伊藤園お~いお茶新俳句大賞結果発表
2024年の初めに開催された「第36回伊藤園お~いお茶新俳句大賞」の結果が発表されました。このコンテストは、国内外からの応募者を迎え、総勢約185万句が集まる国内最大級の創作俳句コンテストです。今年の文部科学大臣賞を受賞したのは、大阪府高槻市に在住の阿見果凛さん(15歳)。彼女の作品「凍星や歴史に残らない仕事」がその栄誉を手にしました。
文部科学大臣賞を受賞した作品の魅力
阿見さんの句は、歴史の表舞台に立たない人々へのまなざしを含んでいます。この作品は、歴史には名を残さない人々や、その仕事に光を当てるというテーマを持っており、「後世に伝わらない凄い人々や仕事」に想いを寄せています。彼女の句に対するコメントでは、歴史教科書から不在の存在を意識し、過去に思いを馳せたことを語っています。
金子兜太賞、矢野啓介さんの作品が選ばれる
金子兜太賞には岡山県岡山市の矢野啓介さん(45歳)の「感情の海に一頭くじら飼う」が選ばれました。この作品は、自分の感情を大海原に住む鯨に例え、時には潜ったり、時には海面に出たりする複雑な思いを表現しています。彼はこの句を通じて、自身の感情との折り合いを描き出しています。
各部門の大賞受賞者たち
小学生の部
【ちきゅうにてがみをおくる】岡野珠里さん(6歳)
無邪気な願いを色鮮やかに表現したこの句は、子供ならではの素直さが光ります。地球への愛と友情が素直に語られています。
中学生の部
【夕焼けのしっぽつかんで立ち話】伊藤来実さん(14歳)
友達との別れ際の名残惜しさを描写したこの詩は、夕焼けを友とする切なさを伝えます。
高校生の部
【留守番の具なしラーメン外は雪】小川慶太郎さん(16歳)
一人の留守番の孤独と解放感、そして寒い中で味わう一杯のラーメンとを味わい深く表現した作品です。
一般の部A(40歳未満)
【伏線のように手袋落ちている】三原瑛心さん(25歳)
道端の手袋を見て、そこから物語を感じ取るセンシティブな観察眼が評価されました。
一般の部B(40歳以上)
【蒲公英をしづかに跨ぐ盲導犬】長曽宏隆さん(43歳)
盲導犬の優しさとその繊細な所作が、その場の情景を描写するフレーズに組み込まれています。
英語俳句の部
【zoo exhibit monkeys watch humans watch monkeys on smartphones】Ngô Bình Anh Khoaさん(31歳)
この作品はテクノロジーが絡む現代社会を鋭く捉え、動物観を風刺する視点を与えています。
未来に向けた展望
さらに、11月3日より新たに「第37回伊藤園お~いお茶新俳句大賞」の募集が開始されます。応募者は年齢や地域を問わず、自由な表現で挑戦することが期待されています。詳細については、新俳句大賞の公式ホームページをチェックして、自分自身の言葉で俳句創作にトライしてみましょう。
この俳句大賞は、日本文化の継承や新しい表現に貢献しており、毎年多くの若い才能をご紹介しています。ぜひ皆さんも次回の挑戦者となり、新しい言葉の世界を開拓してみてはいかがでしょうか。