デジタル化に対するビジネスパーソンの意識
公益財団法人日本生産性本部が、11月26日に発表した「生産性課題に関するビジネスパーソンの意識調査」では、ビジネスパーソンの皆さんがデジタル技術の導入についてどのように感じているのかが浮き彫りになりました。この調査は、労働生産性の向上を目指し、その現状認識や阻害要因、改善策について定量的に了解することが目的です。
調査の概要
調査は2025年9月、全国の従業員規模300人以上の組織で働くビジネスパーソン2,882名を対象に実施されました。経営層、管理職層、非管理職層の3つの役職カテゴリーに分かれて回答を集め、さらには業種別や海外売上高比率別でも分析を行いました。
危機感の強い労働生産性
日本の労働生産性が国際的に低迷している現状に対し、68.7%のビジネスパーソンが危機感を抱いています。特に経営層では74.2%が強い危機感を訴えており、役職が上がるほどその割合が増加します。この危機感を抱く理由は、43.5%が「無駄な作業や業務が多い」と回答しており、生産性向上の妨げとなる要因として重要視されています。
物価上昇の影響
調査では、物価上昇が生産性に与える影響についても問われました。36.6%の respondentsが、コストの増加分を価格転嫁することしかできておらず、生産性は変わらないと考えています。この一方で、経営層やものづくり部門では、「物価上昇を好機と捉える」意見が少なからず存在し、前向きな見解も見受けられます。
賃上げとその現状
賃上げに関する質問では、32.7%の人が現在の賃上げが物価上昇に見合っている一方、55.0%は見合っていないと述べています。来年の賃上げの予測では、54.5%が「4.0%未満」の見込みであり、一方で海外売上高比率50%以上の企業では、6.0%以上の賃上げを予想する声も目立ちます。
デジタル技術の役割
特に注目すべきは、生成AIやその他のデジタル技術が自身の業務を代替する可能性に対する認識です。調査結果によると、脅威を感じているが42.2%、脅威を感じないが44.1%と、ほぼ拮抗しています。役職が高くなるほど、デジタル技術に対する脅威を強く感じる傾向があるようです。
将来に向けた展望
また、充実した人材や設備、研究開発投資を阻害する要因として、「わからない」が20.6%で最も多く、「経営資源の制約(人員・資金)」が19.2%と続いています。特に経営層は自らのレスポンスが高く、このことからも、役職による経営課題への認識の違いが明らかです。
まとめ
今回の調査から浮かび上がったのは、ビジネスパーソンの間でデジタル化への評価が拮抗していること、そして労働生産性の向上に向けた強い危機感が広がっていることです。この情報は、今後の企業戦略や経営方針を策定する上でも重要な指針となるでしょう。デジタル化が急速に進む中で、ビジネスパーソンたちはどのように変化に適応し、生産性を向上させるのか、その動向に注目です。