東工大発スタートアップelleThermo、鉱山地熱発電で小型LiB充電に成功!
東京工業大学発のスタートアップ企業である株式会社elleThermo(読み:エレサーモ)は、メキシコでの実証試験において、鉱山地熱発電による小型リチウムイオンバッテリー(小型LiB)の充電に成功しました。これは、同社が開発したエネルギー変換デバイス「STC(Semiconductor-sensitized thermal cell)」の実用化に向けた大きな一歩と言えます。
メキシコ鉱山での過酷な環境下での実証試験
elleThermoは、東京工業大学で開発されたSTCの社会実装を目指し、グローバルなエネルギー問題解決に貢献することを目標としています。今回の実証試験は、メキシコ国内のNaica鉱山を含む2つの鉱山で行われました。Naica鉱山は、温度42℃、湿度100%という過酷な環境であり、STCは設置後すぐに結露してしまう状況でした。
このような過酷な環境下で、原理確認用STCを20個直列に接続し、小型LiBへの充電実験を行いました。その結果、16時間後の小型LiBから放電曲線を測定したところ、初期電圧が2.259Vを示し、充電に成功したことが確認されました。
STCの技術革新と今後の展望
STCは、半導体の熱励起電荷による酸化還元反応を利用して発電する技術です。特徴として、発電能力が弱まっても熱の中に放置することで発電能力が回復するという点があります。今回の実証試験では、小型LiBへの充電に成功しただけでなく、湿度100%の環境下で16時間放置しても安定して発電し続けることが確認されました。
今後、elleThermoは、スイッチをオンオフする自動回路を組み込むことで、より大電力な充電を目指していきます。また、今回の実証試験で得られたデータに基づき、STCの性能向上とさらなる実用化に向けた研究開発を進めていく予定です。
elleThermoの目指す未来
elleThermoは、安全・安心で、資源に頼らないエネルギー問題の解決を目指しています。STCを活用することで、室温以上の未利用排熱から電力を生み出し、安定した発電システムを世界に提供していくことを目指しています。
今回の実証試験成功は、elleThermoの技術が実用化に向けて大きく前進したことを示しています。今後、STCが再生可能エネルギー利用の拡大に貢献し、持続可能な社会の実現に貢献していくことが期待されます。