地方不動産市場における現状と課題
株式会社いえらぶGROUPが実施した調査によると、地方では「空き家の多さ」が不動産市場の重要な課題として浮上しました。このアンケートでは、地方の魅力や都市部への競争力についても調査され、興味深い結果が得られました。
調査の背景と目的
近年、都市部への人口集中が進み、地方では深刻な人口減少が続いています。この状況は不動産市場にも影響を及ぼしており、今後のまちづくりや住まいのあり方を模索する必要があります。いえらぶGROUPは、不動産会社とエンドユーザーを対象に「都市集中/地方活性化」に関するアンケート調査を行い、その結果を発表しました。
地方の魅力と都市部への魅力
調査結果から、地方への魅力の第1位には「自然環境の豊かさ」(55.2%)が選ばれました。一方で、都市部には「交通の利便性」(69.6%)が圧倒的な支持を受けています。また質問に対し「地方への移住を検討したことはありますか?」という問いには、16.6%が「はい」と答え、なお36.6%が「すでに地方に住んでいる」という結果でした。都市部に関しては22.9%が移住を希望していると言いますが、現状では都市部への移住を考える人と地方への移住希望者の割合に大きな差は見られませんでした。
空き家の問題
不動産会社からの回答によると、地方での物件取扱い経験がある会社は59.3%と高い割合を示しましたが、課題として挙げられたのは「空き家の多さ」(43.9%)でした。次いで「賃貸需要や売買ニーズが少ない」(32.7%)や「管理や現地対応に手間がかかる」(29.4%)も課題として認識されています。いえらぶの別調査でも、エンドユーザーの48.2%が空き家問題に関心があると回答しており、空き家の増加は地方不動産の管理負担として大きな問題となっています。
移住促進に必要な要素
地方移住を促進するためには、「医療や教育機関の整備」がエンドユーザーから最も求められている(50.8%)という結果が出ました。続いて「多様な仕事の選択肢」(50.4%)や「移住支援や補助金制度の拡充」(45.9%)も重要だとされています。さらに、不動産会社も「交通インフラの整備」「住居や生活環境の整備」が必要との意見が多く見受けられました。これにより、移住を希望する人々が地方での生活を選ぶきっかけを作ることができるでしょう。
今後の展望
いえらぶGROUPの庭山健一常務取締役は、都市部への人口集中が続く中での地価や賃料の上昇、さらには地方における空き家問題を指摘し、地域活性化を推進するためには、生活インフラや医療・教育環境の整備が必要であると述べています。また、移住支援制度の拡充も重要であり、行政や地域住民と連携しながら、多様な選択肢を提供することが求められています。
この調査から、地方における不動産市場の現状と課題を振り返ると共に、移住促進に向けた取り組みが急務であることが浮き彫りとなりました。今後も、いえらぶGROUPは不動産市場の変化に対応し、全国の不動産会社がスムーズに適応できるよう支援を続けていくことでしょう。