建設業界の革新をもたらす3Dプリンタ技術
建設業界における生産性向上が求められる中、日揮ホールディングスと大成建設が手を組み、画期的なプロジェクトを実施しました。このプロジェクトでは、建設用3Dプリンタを駆使して、大型プレキャスト(PCa)部材を製作する技術の実証が行われました。
3Dプリンタによる新しい製作プロセス
日揮グローバル株式会社が主導として、福島県浪江町で行われたこの実証では、柱、梁、スラブを一体化したPCa部材の型枠を3Dプリンタで造形する手法が採用されました。従来の方法では各部材は個別に製造され、接合する必要がありましたが、この新たな技術によって、接合作業が削減されることが期待されています。これにより、作業の煩雑さが軽減されるだけでなく、施工の安全性や効率性も向上します。
土木学会の技術指針に基づく初の実証
特に注目されるのは、土木学会が2025年に発刊予定の「建設用3Dプリント埋設型枠を用いたコンクリート構造物の技術指針」に基づいた試みである点です。この技術導入の動きは、将来的には技能者の削減、さらにはコストの低減も見込まれており、建設業界全体に変革をもたらす可能性があります。
現場近くでの製作がもたらす生産性の向上
同プロジェクトでは、ニアサイトプリントを採用しているため、材料を現場近くで製作することが可能です。これにより、長距離の輸送に伴うリスクやコストを低減できると期待されています。また、高所作業や人力作業の負担も軽減されるため、作業員の安全性向上にも繋がります。
大型・複雑構造物への対応
別の視点からも、この3Dプリンタによる技術は複雑な形状を必要とする構造物、例えば工程上で配管や周辺設備との干渉が発生する可能性のあるプラント構造物などにも適応可能です。従来工法では難しかったケースにも柔軟に対応できるため、大型建設プロジェクトにおける多様なニーズに応えることができます。
今後の展望
このプロジェクトの成功は、有望な出口を示しています。将来的には、建設業界全体における技術の標準化を進め、国内外の様々な建設プロジェクトへの展開も目指しています。これまでの様々な試みから得たノウハウを活かしつつ、技能者不足という社会課題の解決にも寄与できる道筋が見えてきました。
このように、建設用3Dプリンタ技術による大型PCa部材製作は、業界を革新する鍵となる取り組みと言えるでしょう。日揮グローバルと大成建設は、さらなる技術の高精度化と効率化を進めていくことにより、建設業界に新たな風を吹き込んでいくに違いありません。